作家・窪山さんが個展

40年以上にわたってパッチワーク・キルトなどの手芸作品づくりや指導者として歩んできた窪山照枝さん

 

 

約130点の作品が並ぶ会場。多くの来場があり、窪山さんが生み出す「手芸の世界」に見入っていた

 

 

 

パッチワーク・キルトなど7種類約130点並ぶ
公民館講座で長年指導

 

 

 出身地・大和村の公民館講座をきっかけに長年基礎指導に関わり、パッチワーク・キルトの普及を図ってきた作家・窪山照枝さん(73)=奄美市名瀬浦上=が、名瀬中心商店街にある陽向ビル2階(旧クレソンビル)で個展を開いている。タイトルは「出会い・布・ときめいて」。パッチワーク・キルトを中心に7種類約130点(小物類を含めて)の作品が会場を包むように並び、手作業のぬくもりが伝わる「手芸の世界」が来場者を迎える。

 今月1日から始まり16日までで、同ビルの営業時間は午前10時~午後5時だが、期間最終日は午後1時までとなる。入場無料。

 さまざまな布を組み合わせて縫い合わせ、さらにキルティング(裏布を加えての三層構造)するパッチワーク・キルト。市役所に勤めていた夫が1979年から83年までの間、異動で旧名瀬市の鹿児島事務所勤務となり、夫婦で鹿児島市内で生活。その際に同市内にある百貨店(山形屋)で開催されたパッチワーク展を見たのが、窪山さんが作品づくりに取り組む契機となった。1年間、市内の教室でトラディショナルキルトを学んだが、「専門的な指導を受けたのはこの機会だけ。それ以外は鹿児島市内や名瀬に戻っても書店巡りを行い、パッチワークやキルトに関する専門書を見つけ購入した」。窪山さんは「私にとって本が教師。記述を読み込み理解し、作品づくりに取り組んだ」と話す。

 「良い作品に出合うことが大事。感動し刺激を受け、私も取り組もうという気持ちになる。手芸によって人生が豊かになった。同じ経験を多くの皆さんに味わってもらうことができたら」。作品を見ることで芽生える感動、それを広げたいという思い。やがて窪山さんは公民館講座の講師として活躍するが、同郷(大和村津名久出身)で当時、同村中央公民館の館長だった伊集院功さん(故人)から公民館講座講師の誘いを受けたのが最初だった。「本から学んだだけで資格を持っているわけではないのに、という思いの方が強かった。でも、この誘いをいただいたことに今でも感謝している」と窪山さん。

 公民館講座での指導者(講師)としての歩みは同村で14年、続いて龍郷町で8年、旧名瀬市でも芦花部公民館を含めると10年間に及ぶ。この間、MBC学園名瀬教室のパッチワーク・キルト講師も務めており、基礎を教えた生徒数(講座生)は約1500人にもなる。

 ライフワークという自らの作品づくりも精力的に取り組み展示会は地元だけでなく、西武デパート池袋店での開催も。2018年には田中一村記念美術館・企画展示室で「木・布に遊ぶ手仕事展」で森田良平さん、森田ケイ子さんとの三人展も開いた。また、製作キットを利用し、ちりめん細工にも取り組み、華やかな「さげもん」の作品も生み出している。「ちりめんは、生まれてくる孫が女の子と分かり始めようと思った」。かわいらしいちりめん細工と孫への愛情が重なった。

 受賞歴も多い。市美展、九州新工芸展、かごしまの新特産品コンクール、大島紬と西陣の帯をコラボレーションした作品は、展示会で京都府知事賞を受賞した。

 今回のような個展は九州電力コミュニティールーム(奄美配電事業所)での開催以来という。展示作品の種類は、パッチワーク・キルトとちりめん細工以外では、刺し子、メルヘン人形、押し絵、古布など。2日の日曜は次々と来場があった会場。大島紬の着物を着用して出迎えた窪山さんは「奄美が誇る伝統工芸である大島紬を着る機会を増やしたい。紬を着て来場していただけたら」と呼び掛けた。作品展の問い合わせは電話0997・53・9158(窪山さん自宅)まで。