完工式で九州農政局の緒方和之局長(中央左)へ謝辞を述べる和泊町の前登志朗町長(中央右)=5日、知名町フローラル館=
水の安定供給で農業発展願う
国営沖永良部土地改良事業完工式
【沖永良部】国営沖永良部土地改良事業の完工式(九州農政局主催)が5日、知名町フローラル館であった。関係者63人が出席。着工から19年、地下ダム事業の完了を祝った。
沖永良部島の農業は、水源をため池や地下水に依存しているほか、干ばつや台風の影響も受けやすく、厳しい農業経営を強いられていた。
国営沖永良部土地改良事業は、農業用水の安定的な確保と供給が目的。主要工事として、地下水をためる地下ダムと揚水機場1か所、吐水槽1か所、貯留タンク(ファームポンド)2か所、用水路(44・4㌔㍍)を整備した。
2007年に各施設の整備に着手、16年1月に部分通水を開始した。受益面積1497㌶(和泊町704㌶、知名町793㌶)。総事業費362億円。
式典で九州農政局の緒方和之局長は「沖永良部地域の農業がさらに発展し、豊かな農村社会が形成されることを願う」と式辞。事業経過を報告した九州農政局沖永良部水利事業所の糸賀信之所長は、部分通水開始後の17年7、8月に発生した干ばつにおいても「安定的に農業用水を供給し、干ばつ被害防止へ貢献できた」とした。
国営沖永良部土地改良事業促進協議会の会長を務める前登志朗・和泊町長は「地下ダムから供給される農業用水は、農業の生産性向上と経営の安定に大きく貢献すると確信している。さらなる発展に向け努力していく」と謝辞を述べた。

