シストセンチュウ被害防止へ

シストセンチュウ対策で開かれた緊急研修会=4日、徳之島町会場

期待される抵抗性品種「しまあかり」(県大隅地域振興局HPより)

抵抗性品種「しまあかり」に期待 そうか病も軽微、食味評価高く
県産バレイショ守る研修会

 【徳之島】北海道で被害が拡大しているバレイショの重大害虫「ジャガイモシストセンチュウ(シストセンチュウ)」の侵入を防ぐため、県園芸振興協議会主催の緊急研修会が4~5日、徳之島3町で開かれた。生産者ら約130人が参加し、全国の種イモの約97%を供給する北海道の現状や植物防疫法に基づく防除対策などを学んだ。

 研修会は県園芸振興協と県内12地区の自治体、JAが連携して実施しているもの。講師を務めた県農業開発総合センター企画調整部普及情報課の大保勝宏農業専門普及指導員(野菜)が、道内での感染拡大や防除の難しさを説明した。

 シストセンチュウはナス科植物の根に寄生し、収量を5割減らすほどの被害をもたらす害虫。土壌中を移動し長期間生存するため根絶は極めて困難で、発生が確認されたほ場では種イモの出荷が禁止される。北海道では2020年時点で56市町村の約1万㌶が汚染地域に指定された。生産者の高齢化や管理作業の負担増も重なり、種イモ生産量は減少傾向にあるという。

 大保指導員は「植物防疫法に基づき北海道の種イモ生産体制を守ることも重要。県内でも侵入防止を徹底してほしい」と呼び掛けた。県では、こうした状況を踏まえシストセンチュウ抵抗性品種「しまあかり」(鹿児島県育成)の普及を年次計画で推進。徳之島3町での研修会では24年度に実施した現地適合性試験の結果も紹介した。

 それによると、現在の主流品種「ニシユタカ」と比較すると、「しまあかり」は出芽がやや遅れるものの、最終的な出芽率は同等で、1個重はやや軽いが個数が多い傾向にある。さらには、そうか病の発生が軽微で、外観・食味の評価も「上回る」「やや上回る」を合わせ約7割と高い評価を得た。

 県は今後、JA県経済連やホクレンを通じて「しまあかり」の種イモ供給量を段階的に増やし、28年度までに100%転換を目指す方針。研修会では「徳之島でも早期の普及定着を」と協力を呼び掛けた。