多彩なジャンルを融合させた雅楽の演奏とトークで生徒を魅了した東儀秀樹さん=10日、天城町立北中学校で
【徳之島】世界的に活躍する雅楽(ががく)師・東儀秀樹さんの学校コンサートが10日、天城町立北中学校(棈松義幸校長、生徒75人)体育館であった。11日の徳之島公演に先駆けた〝出前公演〟で、一般財団法人・民主音楽協会九州センターの主催。全校生徒に加え、保護者や地域住民も訪れ、1400年以上の歴史を持ちユネスコ無形文化遺産にも登録された雅楽の世界を体感した。
東儀さんは1300年続く雅楽の名家・東儀家に生まれ、「篳篥(ひちりき)」を専門とする雅楽師。宮内庁楽部での活動を経て、雅楽器と西洋楽器を融合させた唯一無二の音楽で国内外の舞台に立つほか、作曲や俳優業など幅広く活躍し、多数の受賞歴を持つ。
コンサートは「笙(しょう)」による現代曲アレンジの演奏で開幕。篳篥や笙の響きに多様なジャンルを掛け合わせた楽曲を披露し、時に幽玄、時に躍動感ある音世界で会場を魅了した。
演奏の合間には、若者へ伝統を手渡すための独自の哲学をユーモアを交えて語った。「雅楽は文化として学ぶ前に、音楽として出会ってほしい」と切り出し、伝統継承の本質は知識の習得ではなく「なんだこの音は?の〝発見〟から自分で知りに行きたくなる状態をつくることだ」とも強調した。
意外にも自身が雅楽を始めたのは18歳。自身の音楽的センスのみに頼ったピアノも独学だと明かし、「型通りも正規ルートも必要ない。飛び越える、地下から攻める、別の角度から行く。自分だけの道をつくることこそ表現者の本質」と語った。
さらに雅楽の即興の精神を引き合いに、「間違っても止まらない。一番いい着地点を自分で見つける。それは人生そのもの」と表現。「音は鳴った瞬間に消える。だからこそ心を込める。その姿勢は言葉にも同じように宿る」と語り、「伝統とは守るだけでなく、自分の存在を支える〝根〟になるもの」と結んだ。
生徒代表で2年生の峰岡朋輝(ほうらい)さんは「滑らかなメロディーがとても美しかった。僕も島唄三味線をしている。これからも日本の文化を大切に頑張ります」と感謝を述べた。
東儀さんの公演は11日午後6時半から徳之島町文化会館で。12日午後1時半から奄美市立金久中でも学校コンサート。13日午後6時半から同市の奄美川商ホールで奄美公演と続く。

