証言と水彩画で再現した戦後80年特別展「戦時下の徳之島で」=18日、徳之島町生涯学習センター

【徳之島】徳之島町誌編纂室の戦後80年特別展「戦時下の徳之島で」が18日、同町生涯学習センター1階ロビーで始まった。同町母間出身で元小学校教諭の有田義孝さん(84)=姶良市在住=が、戦時下の島の姿を後世に伝えるため、島内の証言を聞き取り水彩画で描いた作品群で構成している。会期は12月25日まで。
有田さんは教諭として勤務する傍ら、南日本美術展奨励賞の受賞や「絵と陶の親子三人展」開催など、創作活動にも力を注いできた。2018年には古里・母間での「特攻隊藤野道人軍曹戦死の実相」証言記録・作品展、24年には個展「戦世(いくさよ)を生きて」を開催。今年10月には、著書『戦世を生きて―神戸空襲から、祖国復帰までの足跡』(B5判168ページ)も刊行した。今回の特別展は、有田さん本人と古里のいとこたちとの共催の形で、同町誌編纂室の要請に応じた。
展示は、2018年当時を中心に島内の戦時体験者から直接聞き取った証言に、有田さん自身の幼少期の記憶も重ね、水彩画で表現したA4サイズ計79点で構成。旧日本陸軍・浅間飛行場への空爆と復旧作業、空襲による非戦闘員の犠牲、負傷者の救護、母間海岸に不時着した特攻機と藤野軍曹の最期、当時の暮らしぶりなど、島が経験した戦時の実相を丹念に描き出している。
体調の都合で今回の帰省はかなわなかった有田さんは、「展示を通じ、戦時下の現実に触れ、未来を考えるきっかけにしてほしい。証言を寄せ、すでに旅立たれた方々がいることも記し、謹んでごあいさつとさせていただきます」とメッセージを寄せた。
著書『戦世を生きて―』発行人でいとこの盛山勝宏さん(82)=東京都文京区、印刷会社代表取締役=は、「(有田さんは)文章も水彩画も全て自身で手掛ける才能の持ち主。徳之島でも戦時中に多くの惨事があったことを後世に伝えたいという強い思いがある」と語る。
竹原祐樹・町誌編纂室長(40)は「記録に残りにくい戦時下の徳之島のディティール(細部)を、証言と水彩画という稀有(けう)な手法で再現した貴重な歴史叙述だ。軍の動向などは文献に残りにくく、資料性も高い」と評価している。

