不妊虫増殖施設整備を支援

沖縄県で行われているセグロウリミバエ不妊虫の増殖(同県病害虫防除技術センター提供)。鹿児島県での取り組みに対し農林水産省が支援を行う

病害虫侵入・まん延防止8億900万円
農水省補正案
セグロ危機

 政府は28日、経済対策の裏付けとなる2025年度補正予算案を閣議決定したが、農林水産省の公表によると病害虫侵入・まん延防止緊急対策事業では8億900万円が計上された。この中でセグロウリミバエ(主にウリ科の果菜類・果実の重要害虫)の不妊虫放飼に向けて増殖施設の整備支援を打ち出している。

 消費・安全局植物防疫課によると、対策のポイントとして「温暖化等の気候変動、人流・物流の増加を背景として、我が国への侵入・まん延リスクが高まっている重要病害虫に対する、根絶・まん延防止に向けた防除等の取り組みを緊急的に支援」とする。

 事業は、▽ミバエ類(ミカンコミバエ種群、セグロウリミバエ)の重要病害虫の防除が3億5900万円=ミカンコミバエが大量に誘殺されている長崎県(今月17日現在で1234匹)をはじめ九州及び南西諸島等の重要病害虫の防除で、根絶・まん延防止に向けた取り組みを緊急的支援▽不妊虫を活用した防除体制整備が4億5千万円=不妊虫増殖施設の整備により、セグロウリミバエ等に対する、不妊虫を活用した防除体制の構築推進―という内容。セグロウリミバエの緊急防除が今年4月から実施されている沖縄県では同6月から不妊虫の放飼がヘリコプターなどにより進められている。この取り組みを鹿児島県でも行う場合に施設整備を支援するもの。

 鹿児島県は、同県開発促進協議会(会長・日高滋県議会議長)が今月6日行った26年度政府等の予算編成に関する提案活動で、セグロウリミバエの防除対策では同省に対し、不妊虫放飼を含めた広域での防除体制整備を提案していた。

 奄美市名瀬にある県の不妊虫増殖施設は現在、アリモドキゾウムシを対象にしている。ウリミバエ根絶防除事業で整備された施設(1979年建設)で老朽化が激しい。専門家は「既存の施設を活用するなら閉鎖環境(飼育環境)を確立することが必要。アリモドキと分けて整備しなければならない。施設の現状から長期的な使用は困難で、新たな施設の建設が必要だが、土地の取得を含めて数年かかる。防除は緊急性が求められるだけに既存施設を活用しながら新施設整備へ計画を進める方向で、二本立てで取り組むのが望ましいのではないか」と提案する。

 なお、県経営技術課のまとめによるとセグロウリミバエの誘殺は喜界町を除く奄美群島11市町村で確認されており、誘殺数の合計(3月17日~11月10日)863匹。このうち徳之島3町の計は370匹で全体の4割で、増加傾向にある。同島には野生寄主植物のオキナワスズメウリが多く繁殖しており、こうした寄主植物の除去作業はハブの危険性があることから「ハブが生息する徳之島や奄美大島での防除は、沖縄県で進められているように不妊虫の放飼が必要ではないか」との指摘が出ていた。農水省が増殖施設整備を支援することで実現に近づきそうだ。