つながる善意の輪

〝男性唄者〟が託した10円玉は街頭募金の協力団体に渡された(7日、奄美市名瀬の「オオギヤバザール」)

10円玉8㌔を寄付 匿名の男性唄者?
「奄美新聞記事見て感動」

 奄美市名瀬の中心部にある名瀬中央通り商店街で古着や民芸品などを販売する「オオギヤバザール」に7日昼頃、10円玉が詰まったペットボトルを手にした男性が現れた。

 「街頭募金はどこでやっていますか」――。男性は、この日の新聞記事を見て、募金をしようと出掛けてきたのだという。

 店主の大迫光子さん(75)は前日、1年間ためたお金を貯金箱ごと寄付し、その時の様子を奄美新聞が取り上げていた。

 男性は、記事にあった店名を頼りに店を探し訪ねたようだった。大迫さんが話を聞くと、「助け合い活動に感動して、いてもたってもいられなかった」と話し、お金を託し、名前も告げずに帰ったという。

 大迫さんは「片手では持てないぐらい重かった。硬貨のサビ(酸化銅)がペットボトルにこびりついていたので、長年ためたお金だと分かる。この方の愛情の深さに私の方が感動した」と感慨深げに語った。

 この時、店にいた客の一人は「シマ唄を歌っている人。見覚えがある」と話し、島バナナを納品に訪れた男性によると、10円玉の重さは約8㌔あったという。

 10円玉は網の袋に移され、午後から街頭募金を行っていた読み聞かせグループ「こぐまちゃん」の保由美子さん(73)に渡された。保さんは「大迫さんの善意が、男性の善意につながった。心が温かくなった」と話した。