西古見砲台第2観測所跡の内部で確認された落書き「71129」被害。文化財保護法違反に抵触する可能性がある(瀬戸内町教育委員会提供)

同観測所跡の外観(同)
瀬戸内町が管理している国の史跡「奄美大島要塞跡及び大島防備隊跡 附(つけたり) 大島需品支庫跡」の構成遺跡である西古見砲台第2観測所跡で落書き被害が確認された。同町教育委員会(埋蔵文化財センター)によると昨年に続き2回目で、国史跡明示・注意喚起看板を設置した上での犯行のため、悪質と判断し、町教委は瀬戸内署に連絡した。文化財保護法違反などに抵触する可能性がある。
同町教委が11日に発表した。最初に落書きが確認されたのは昨年11月。同観測所跡内部に「60629」、公園の擬木に「60410」などの数字記入があった。国史跡のため文化庁に毀損(きそん)届を提出。模倣犯が出ないよう、専門家や専門機関の指導の下、速やかに落書きの除去を行ったという。
今年3月には落書きなどの文化財毀損がないよう対策。同観測所跡が国史跡であることを来訪者に理解してもらうため、案内看板に国史跡の標記を実施。こうした国史跡などに対する禁止事項を書いた注意喚起看板(英訳を含む)を観測所跡入り口の柵へ設置し、落書きが禁止事項であることを示した。
ところが今月7日、観測所跡内部の以前と同じ箇所に「71129」の落書きを確認。前回同様、文化庁へ毀損届を提出した。町教委は「落書きは令和7年11月29日の日付ではないか。数字の書き方で特徴など共通しており、同じ人物が犯行を繰り返したとみられる」と推察する。悪質性から町教委は「文化財への落書きは犯罪であることを認識してもらうため」警察署に連絡したが、実況見分後に被害届を提出する方針。法に抵触した場合、5年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金が科せられる。修復にかかわる費用の賠償請求もする。
同史跡がある西古見は奄美大島の南西端であるにもかかわらず、日に3~5組程度が観光や調査、学習などで訪れており、奄美大島の自然・歴史を知る場所として活用されている。町教委・埋蔵文化財担当の鼎(かなえ)丈太郎さん(49)は「西古見第2観測所跡は、国史跡の構成遺跡というだけでなく、瀬戸内町や東アジアの歴史を知る上で重要な遺跡であり、平和を考える場としても非常に重要。また、100年以上経過している構造物で、土木・建築学的にも重要な遺跡」として、「現地での注意喚起を無視し、国民共有の財産を毀損する悪質で身勝手な犯行」と指摘。今後も多くの人々に活用してもらうよう、落書きを除去し公開していく方針だが、繰り返されるようなら「封鎖も視野に入れた保護」「防犯カメラの設置」も検討するという。
国史跡・西古見砲台第2観測所跡 奄美大島要塞跡西古見砲台跡の施設。標高110㍍地点の尾根筋状にあり、海峡入り口や東シナ海を眺望できる。構造は鉄筋コンクリート造り2階建てで、1階に観測具を置いた円形台座と観測用窓がある、窓上部壁面に海峡西口の島々や島名、距離などが鮮やかな色彩で描かれている。2階は指揮官室で、観測所の規模や内部構造により、西古見砲台跡の主観測所と考えられる(瀬戸内町教育委員会説明資料から)

