アオウミガメ産卵安定推移

 

 

奄美大島北部の浅瀬で海藻を食べるアオウミガメの亜成体(2025年9月3日、興克樹さん撮影)

 

 

25年シーズン奄美大島 捕獲減り成体増加
海洋生研

 

 奄美海洋生物研究会(興克樹会長)はこのほど、2025年シーズンの奄美大島における「ウミガメ上陸・産卵調査」の結果を発表した。〝遠洋性〟のアカウミガメの産卵回数は、663回を記録した13年の10分の1以下の58回にとどまり過去最低レベルだった。一方、〝沿岸性〟のアオウミガメは前年比162・2%の318回で安定的に推移している。リュウキュウイノシシによる卵の採食は119巣と倍増した。

 調査は、同研究会、環境省、奄美大島5市町村、NPO法人TAMASU(大和村)などの調査データを集計し毎年行っている。

 産卵状況を種別にみると、熱帯から亜熱帯の海を広く遊泳するアカウミガメの産卵は、ピークだった14年以降減少傾向。過去最少だった23年の43回と同水準の58回だった。漁業による混獲などが原因とされている。

 一方、沿岸域に生息し定着する個体も多いアオウミガメの産卵数は、12年以降増減を繰り返しながらほぼ同水準で安定的に推移している。

 同研究会では、16年から続くアカウミガメ産卵回数減少により、奄美大島においての「産卵優占種」がアオウミガメに移行していると分析している。

 アオウミガメの亜成体(未成熟な個体)は、奄美大島沿岸海域に年間を通して生息している。沖縄県の石垣島における研究では、定着している個体は年平均5回の産卵を行っていることが分かっている。

 しかし、これらの研究と産卵回数との因果関係は明確ではなく、興会長は「東南アジアや日本で、カメや卵を食べる習慣がなくなったことで世界的に数を増やしつつある。はく製需要もなくなり、各国での保護も進んでいることが主な要因」と話した。

 リュウキュウイノシシによるウミガメ卵や幼体の採食は119巣で、24年の67巣から倍増した。被食率は27・4%で、産卵巣の4分の1以上が食べられていることが分かった。

 被食が発生している浜の数も24年の6浜から9浜に増加。奄美市名瀬市街地に近い水浜でも初めて被食が確認された。

 興会長は「イノシシがウミガメの卵を食べるのは、太古から繰り返されてきた自然行動だが、採食が恒常化した浜での産卵個体群の減少が懸念される。今年かえったカメは40年後に同じ浜に戻ってくる。長い目で見守っていく必要がある」と話している。