ソテツの葉に付着するソテツシロカイガラムシ。被害の拡大を食い止めることができない状況が続いている

2022年11月に奄美大島で初確認されたソテツシロカイガラムシ(外来種で学名アウラカスピス・ヤスマツイ=英語表記の通称はCAS〈キャス〉)による被害の状況について県はホームページで公表している。今月に入り更新された25年12月末現在では被害本数(黄変や枯死)は累計8417本で、奄美大島5市町村だけでなく喜界町、徳之島町でも拡大しており、防除しても食い止めることができない情勢だ。
市町村など報告による被害状況(道路、公園、学校、店舗、公共施設、緑地帯など)をみると、被害本数は奄美市の5085本が最多で、全体の6割を占めるが、昨年3月末の報告から変動はない。次いで龍郷町1188本、大和村936本、喜界町615本などの順で続く。森林の被害面積は奄美大島のみの報告となっており、計500㌶。最多は奄美市(245㌶)で、龍郷町(134㌶)が続く。
喜界町は昨年3月末現在では21本だったが、29倍と大幅に増えた。同町農業振興課によると、役場に情報提供されたソテツについては防除してきたが、昨年12月12日までの受け付けで役場での作業を終了。現在は私有地などのソテツについて個人での防除を要請している。防除する際は、▽葉を切除し薬剤散布▽切除した葉は焼却処分または、袋に密封してクリーンセンター持ち込み―を呼び掛ける。
昨年10月に初確認された徳之島町。同町北部で複数のソテツの被害が確認され伐倒処分。それでも被害は拡大しており12月末現在では86本となっている。同じ島内の天城町、伊仙町からの被害報告はない。
喜界、徳之島の両町でも被害が拡大していることについて県森づくり推進課の有村仁一課長は「町が防除を進めているが、拡大要因など解明できておらず、被害を食い止めることができていない。喜界島や徳之島への侵入経路も分かっていない」と説明する。県によると、ソテツ科は幹の表面が粗く入り込みやすい上、この害虫は根まで寄生することから、少数の害虫が潜んでいても発見しにくい。移動分散は、ソテツ科植物(苗、葉、剪定(せんてい)ごみ等)の移動のほか、人や動物などに付着しての移動、風による飛散などが考えられるという。
効果的な防除方法が見いだせない中、期待されているのが登録を申請している薬剤の認可。県と薬剤メーカーの実証試験により水稲で使用されている薬剤がソテツにも効果があることが分かり、昨年4月、メーカーによる国(農林水産省)への登録申請が行われた。認可の見通しについて有村課長は「現在のところ不明だが、県としては引き続き開発促進協議会を通じて国にお願いしていきたい」としている。
被害が島内全域に広がったままの奄美大島では、ソテツの青々とした葉を見ることができない状態まで深刻化している。遺伝子の保全に向けた取り組みを提唱するのが一般社団法人日本ソテツ研究会(髙梨裕行会長)。子株を切り分ける方法で、専用のハウスを設けて育てていけば、被害に遭ったとしても子株から成長したソテツを再び現地に植えることが可能だ。

