西郷松跡で行われた上陸祭(1日、龍郷町久場阿丹崎湊)
家族の像が建つ西郷小浜公園であった「おでもりフェスティバル」
「安政の大獄」(1858年)から逃れ、龍郷町に潜居(せんきょ)した西郷隆盛の遺徳を伝える「第5回西郷南洲翁上陸記念祭」が1日、同町久場阿丹崎湊(くばあたんざきみなと)であった。約30人が参加。西郷と愛加那を地元住民が演じ、浜へ上陸するシーンを再現。記念式典では、2010年から顕彰活動を行っている志塾・西郷塾の久保明雄塾長(84)が「龍郷での経験が、のちの維新につながった」と英雄をたたえた。シマ唄などによる関連イベントもあった。
上陸祭は、西郷塾が主催し17年から4年連続開催。その後、新型コロナウイルス感染症の影響もあり途絶えていた。復活させたのは、龍郷集落・安木屋場集落住民らで設立したNPO法人南洲翁龍愛未来塾(住友智光理事長)。西郷塾と共催し、7年ぶりとなった。
式典は、西郷が乗った船「福徳丸」のとも綱をつないだとされるリュウキュウマツ(通称・西郷松)跡のある番屋西郷松本舗前で行われた。
久保塾長は「西郷は、1859年(旧暦)1月12日、この地にたどり着いた。約3年過ごした龍郷での経験が維新につながっていく。感慨深い」とあいさつ。
隆盛の玄孫(やしゃご)、島津典子さん(77)=千葉県=は「隆盛も、(長男)菊次郎も涙を流して喜んでいることだろう」と感謝した。
龍郷集落では、西郷塾の得冨一博さん(70)の案内でゆかりの地巡りが行われた。笹森儀介の石碑、美玉新行居住跡(最初の潜居地)、愛加那の墓(龍家の墓)などを歩いて回り、約10人が当時をしのんだ。
ミュージカル「KIKUJIRO」で菊草(隆盛の長女)役を演じた朝日小6年の原美波さん(11)は「舞台では、シナリオから一家を想像するしかなかった。墓や住んでいた家を見て身近に感じる。演技に生かしたい」と話した。
隆盛の足跡を子どもたちに伝え、文化発信の場にしようと企画された「おでもりフェスティバル」は、隆盛一家4人の銅像が建つ西郷小浜公園で開催された。
ダンススタジオLEAPの3歳~高校生までの25人が、ジャズヒップホップでにぎやかにオープニング。楠田莉子さん、正親欣嘉さん、前山真吾さんのシマ唄共演でステージを盛り上げた。
未来塾の住友理事長(54)は「西郷塾の思いが上陸祭復活につながった。生誕200年となる来年は、子どもたちを交えたイベントにしたい。歴史・文化・自然をつないでいきたい」と話した。

