食と農「めぐみ博」トークセッション

高校生による探究発表に基づいて行われたトークセッション。伝統野菜の普及などがテーマとなった

地元食材を使った島料理も展示された

伝統野菜・家庭菜園で普及
価値・品質・計画出荷でブランド化

 「みんなでつくる しあわせの島」へ食と農の総合戦略を策定した奄美市は、関連イベントとして8日、市名瀬浦上町のWorkStyle lab Inno(市産業支援センター)で「あまみ食と農のめぐみ博」を開いた。奄美、大島、大島北の3高校生による探究学習発表(発表順)を受けてのトークセッションでは、伝統野菜(島野菜)の普及に向けて家庭菜園での取り組み、農産物のブランド化では価値や品質を高めると同時に計画的な出荷が欠かせないことが指摘された。

 市主催(農林水産課)だが、総合戦略策定に向けた会議でコーディネーターを務めた鹿児島大学法文学部・市川英孝教授のゼミに所属する学生が運営に協力し、トークセッションでは進行やまとめを行った。

 「佐仁ニンジン」「戸口大根」を取り上げ、奄美に古くから伝わる在来種・固有種である伝統野菜をテーマに発表したのが北高生。知名度や消費頻度の低さといった課題を抱える中、普及に向けて育て方の簡易化を図ろうと学校内の畑を活用し家庭菜園での栽培を「ベジタブル(野菜)大作戦」と名付け取り組んだことを報告した。

 有機農業で無農薬での野菜生産をしている楠田哲さん(くすだファーム代表)は「おいしさで言えば在来種よりも一般的な野菜である交配種(F1)の方が勝るかもしれない。だが、在来種の伝統野菜は正月の三献(サンゴン)など文化とつながっている。こうした食文化を大事にしていくためにも在来種を守りたい」と述べ、「高齢化もあり野菜を作る農家が減少しているが、高校生など若い世代が農業に関心を持つのは心強い。消費の面でも60歳代半ば以上は在来の野菜を求めている」と語り、家庭菜園では肥料設計の工夫を上げた。鹿大生は「今回の活動で奄美に初めて訪れ滞在し、島野菜を食べる機会を得た。とてもおいしい。こうした素晴らしさに地元の皆さんが気付いていただき、島の食材を活用していただきたい」とまとめた。

 奄美産コーヒーの可能性を発表した大高生は、奄美大島と徳之島の生産取り組みの違いとして「徳之島は生産者が組織化されており、それによって情報や施設の共有化などが図られる。奄美大島は組織化されていない」と報告するとともに、市場は圧倒的に輸入品が占める中で「高い値段でも買ってもらえるよう付加価値を高め差別化を図るブランディングが課題」と指摘した。

 ブランド化に向けた取り組みについては市農林水産課がアドバイス。機能性に優れたハンダマ(スイゼンジナ)、特産果樹タンカンを例に挙げて「価値や品質と同時に計画的な出荷が求められ、それにより市場や消費者から高い評価を得ることでブランド化が実現する。生産者の思いや情熱を形にして消費者に届けなければならない」と強調。奄美産コーヒーのように生産量が少ない場合は、販売するターゲットを絞り込み価値を見いだし伝える工夫を上げた。

 会場には「油ぞうめん」「ヒキャゲ」「豚みそ」「ハンダマご飯」など地元の食材を使った島料理も並べられ、関心を集めていた。