奄美空港でドクタージェットに運ばれる男児
医療用小型ジェット機で全国の重症患者の専門搬送を支援する「日本重症患者ジェット機搬送ネットワーク(JCCN)」は17日、奄美市名瀬の県立大島病院から福岡市にある病院へ重症の小児患者を搬送した。同法人による県、奄美群島内患者の搬送は初めてで、関係者からは「離島地域での新たな航空医療搬送の一例に」と期待の声が上がっている。
JCCNは医療機関と連携し、愛知県の名古屋空港を拠点にドクタージェット運航に取り組むNPO法人。2024年4月から、地方では受けられない高度先進医療を必要とする重症小児を、医療機器を備えたジェット機で搬送している。
同法人のホームページなどによると、今回の小児搬送は全国21例目で、奄美空港から福岡空港までドクタージェットを使った。操縦士のほか、搬送先の九州大学病院、兵庫県立こども病院の医師ら3人が同乗した。
搬送したのは、喜界町在住の13歳男児で、男児は今年の2月中旬、自転車の運転中に車にはねられ県立大島病院に運ばれていた。頭を強く打ったことによる重症頭部外傷で、現在も意識は戻っていない。
男児は、急性期から回復期に移るにあたり、鹿児島県本土への転院を進められていた。ただ、本土に身寄りはなく、家族は母方の実家のある福岡市周辺での転院を希望。航続距離に限りのあるドクターヘリでは福岡まで運べないため、県立大島病院の医師が国内搬送を対象にするJCCNを紹介した。
この日は午前9時半、介護タクシーに男児を乗せて県立大島病院を出発。空港で待ち受けたドクタージェットに移し替え、奄美大島を後にした。
男児は今後、搬送先の九州大学病院で集中治療室に入り、治療方針を決めていくという。男児の父(42)は「本当にありがたい。転院先での宿代、生活費などを考えると本当に感謝しかない」と話した。
ドクタージェットに同乗した県立大島病院の中村健太郎救命救急センター長は「いろんな立場で協力しなければ、離島の医療は維持できない。搬送方法に新たなプラスアルファができたことは有意義」と強調。「医療集約が続けば今後も広域搬送は増えてくる。(今回の事例が)奄美の医療が変わっていくきっかけになれば」と話していた。
JCCNはこれまで、クラウドファンディングなどで資金を集めてきたという。ホームページでは引き続き寄付を募集している。

