島の矜持や苦悩を熱演

「朝は明けたり」を演じる伊集院高校演劇部の部員たち

ハンセン病を患ったことで、次々と人権侵害を受ける元患者の姿を描いた「そのひとの名前」

復帰運動とハンセン病、奄美が題材
ゆかりの地・奄美市で公演
伊集院高校演劇部

 全国高校総合文化祭へ3年連続で出場を決めた、日置市の伊集院高校演劇部(上田美和顧問、部員26人)の舞台劇「奄美公演」(同受け入れ実行委員会主催)が21日、奄美市名瀬の奄美川商ホールであった。奄美群島の史実を題材に描いた創作劇で、「朝は明けたり」と「そのひとの名前」の2本をゆかりの地で上演。部員らは奄美の過酷な歴史の一端に心を寄せ、島民の矜持(きょうじ)や苦悩を熱く演じた。

 「朝は明けたり」は、戦後の米軍政下であった日本復帰運動を題材にした。復帰運動を全国に伝えようと奄美大島に密航したラジオ局員が奔走する物語で、当時の島民の実情や思い、局員の葛藤を雄弁に描いた。25年の全国総文祭では優良賞と創作脚本賞を受賞した。

 一方の「そのひとの名前」は、ハンセン病を取り巻く国賠訴訟がテーマ。ハンセン病を患い、強制隔離、名前の改変、去勢手術といった過酷な現実にさらされた奄美出身の少年のエピソードで、裁判などを通じて人間の尊厳を取り戻していく姿を演じた。昨年12月の九州大会で最優秀賞を受賞し、7月の全国総文祭で演じることも決まっている。

 脚本は顧問の上田教諭が事実を元に書き上げた。奄美大島で実際に資料にあたったり、関係者に話を聞き取って練り上げた。

 公演は午前と午後に分けて行い、全国強豪校の演技を一目見ようと観客約800人が詰め掛けた。朝は明けたりでは、島民に指導を受けたという島口(方言)を使って役を演じ、三味線を手にシマ唄なども披露。最終盤、全国放送のオンエアでラジオ局員・岩橋役の小梁川颯さんが「人々の思いが打ち勝った。奄美は鹿児島に復帰した」と告げられると、会場からは大きな拍手が起こった。

 観客からは「素晴らしい演技」「涙が出た」との声も出た。高校生活最後の演技となった3年生で前部長の宮原咲希さん(18)は「言葉(島口)に反応してくれる人がいてうれしかった。本当に忘れてはならない歴史。ゆかりのまちで最後のフィナーレが飾れて良かった」と笑顔だった。

 上田教諭は「演じれば演じるほど、奄美の人の思いを実感できた。お世話になった奄美に届けることができて良かった」と感謝した。保宜夫実行委員長は「(上演の)話を聞いた時は非常にうれしかった。演技も進化している。奄美の思いを全国に広げてくれたことに感謝したい」と話していた。

 公演は、奄美市が市制施行20周年記念事業の一環として共催した。