農作物の食害を取り上げアマミノクロウサギとの共生を考えるブックレットの発行を報告する鹿児島大学国際島嶼教育研究センター奄美分室(左が河合渓教授)
奄美群島の固有種で希少種のアマミノクロウサギは外来種対策などにより生息数が回復する一方、農作物の食害が増加している。島民と希少種の「共生」の在り方を探ろうと鹿児島大学国際島嶼教育研究センターは昨年5~6月、奄美新聞で10回にわたって連載を行った。地域における課題と取り組みを紹介したが、紙面内容を再構成しブックレット(小冊子)を発行。現場で活用できる対策マニュアルも加えている。
27号となるブックレットのタイトルは「『共生』を考える―希少種による農作物被害の現場から―」。同センター奄美分室の河合渓教授、環境省奄美群島国立公園管理事務所の鈴木真理子希少種保護増殖等専門員、同大学農学部の髙山耕二准教授が編者。表紙にはクロウサギがタンカンを食べている様子の写真、裏表紙は鹿児島市の平川動物公園で保護されている個体と食害の被害に遭ったタンカンの幹写真を掲載している。
著者は環境省や鹿大の研究者、関係行政機関担当者、農家代表のほか、奄美新聞記者が座談会(奄美市の果樹農家出席)を担当。ブックレットでは連載記事「連載を始めるにあたり」「農作物被害増加の背景―希少種保護の成功がもたらしたもの―」「タンカン樹皮食害現地から」「徳之島における食害と真の共生」「アマミノクロウサギ錯誤捕獲防止対策」「共生に向けた“棲み分け”」「農作物被害防止対策の取り組み」「中核・若手果樹農家の意見」「連載の最後に」のほか、クロウサギの農作物被害に関する情報、クロウサギ農作物被害対策マニュアル(簡易版)も掲載している。
ブックレット発行の意義について「奄美群島における希少種と農業の共存に向けた理解と行動を広げ、豊かな自然と人の暮らしが『共生』する未来への一助となれば幸い」としているが、河合教授は「希少種による農作物被害は身近な問題となっている。ブックレットに掲載している内容を情報として知識にすれば、心の余裕にもつながるのではないか。生産農家など多くの皆さんが購入していただきたい」と呼び掛けている。
ブックレットの定価は本体700円+税。発行所は北斗書房(千葉市)電話043・375・0313。インターネットでも購入できる。問い合わせは鹿児島大学国際島嶼教育研究センター奄美分室電話0997・69・4852。

