奄美・徳之島「うりずん」の季節

「うりずん」に輝きを広げている新緑のグラデーション(後方は井之川岳エリア)=2日、天城町西阿木名(三京)

やさしい新緑が山々彩る
農業にも明るい兆し

 【徳之島】世界自然遺産に登録されている奄美・徳之島で、春から初夏にかけての季節「うりずん」を迎え、照葉樹の森に鮮やかな新緑が広がっている。国指定特別天然記念物のアマミノクロウサギが生息する深い森では、山頂へと続くように新緑のグラデーションが広がり、島の自然の豊かさを改めて印象付けている。

 同島最高峰の井之川岳(645㍍)一帯は、奄美群島国立公園の特別保護地区であり、世界自然遺産の核心地域とも重なる重要なエリアだ。この山域を貫く徳之島トンネル沿線の〝山並みロード〟では、イタジイをはじめ、イジュやイスノキ、オキナワウラジロガシなどが芽吹き、やわらかな新緑が訪れる人々の目を楽しませている。

 「うりずん」は寒さが和らぎ、大地が潤うことで多様な生命が躍動する季節。島の人々にとっても、卒業や転勤、島立ちなど新たな門出の時期と重なり、出会いと再出発の節目となる。

 一方、今年は島の地域経済にも明るい兆しが見えている。基幹産業であるサトウキビの豊作に加え、肉用牛(子牛)の価格回復、バレイショの好相場などが重なり、単年度の農業産出額はおそらく過去最高を更新する可能性も。資材費の高騰・高止まりコスト増は続くが、農家の表情は「うりずんの候」のように明るい。

 三寒四温を経て、心地よい風が吹き抜けるこの時期は、「島が最も美しい季節」とも評される。互いは健康管理にも留意し、この活気に満ちた「うりずん」の季節を大切に過ごしたい。