コラボレーションに笑顔の三者。マルキは生地における経絣糸の密度を表わす単位で、数字が大きいほど柄が細かく高度な技術を要する。7マルキ一元(秋名バラ)、13算一元絣(龍郷柄)で制作される

トークショーに臨む左から川口さん、前田さん(龍郷柄を制作)、金山さん(タイトー社長室室長)
【東京】中央区でこのほど、本場奄美大島紬NEXTプロジェクト(本場奄美大島紬協同組合・若手職人)が、日本の伝統工芸「本場奄美大島紬」と、日本発のゲーム文化スペースインベーダーを融合させた新作大島紬を発表した。トークショーも行われ、来場者でにぎわった。
トークショーは、同プロジェクトが中央区銀座のGALLERY ART HOUSEで3月20日から22日まで「世界でもほとんど目にすることのできない」とした2026年の新作「12マルキ大島紬」による新作モザイクを発表、展示会の中であったもの。プロジェクト広報担当で「企画屋かざあな」番頭の川口洋一郎氏を司会に、㈲前田紬工芸の伝統工芸士・前田圭祐専務取締役と㈱タイトー社長室室長でスペースインベーダーブランドマネージャー・金山富幸さんが参加した。
スペースインベーダーは、1978(昭和53)年に誕生し、世界に広がった日本発のゲーム文化。 世代を超えて共有され、海外でも人気だ。ドットで構成されたその造形は、大島紬が模様を描く絣(かすり)技法と高い親和性がある。きっかけは、「新品が売れなければ職人は生活できず、若い世代が育たず、技は未来へつながらない」との制作側に、スペースインベーダーの著作を持つタイトーから「日本の伝統工芸を支えられれば」と応じたこと。
秋名バラ×スペースインベーダーは、白大島を基調とし、都会的で洗練された印象の中に、インベーダーが静かに存在するデザイン。 龍郷柄×スペースインベーダーでは、泥大島の力強い伝統柄の中に、ゲームに登場するキャラクターが散りばめられた遊び心あるデザインとなっている。
トークショーでは、20日からクラウドファンディングサービス で制作発表及び先行予約販売を開始したことが報告された。
「ドットだから簡単だと思ったが、図案を作るのに1年かかった」(川口さん)。「遊び心のあるインベーダーはありがたい素材だった。だが、20年間仕事をしてここまでやったのは初めて」(前田さん)。「はるか前に大島紬がドットで作られているのに驚いた」(金山さん)。ドットで描く大島紬とは相性がいいものの、スペースインベーダーの形状を保ちつつ、大島紬として美しく成立させるため、図案は何度も描き直された。また、若者層にも興味が浸透していることも紹介された。
都内からやって来たという50代の女性は「大島紬の奥深さをあらためて知りました」と感心していた。完成予定は12月。世界的に有名なスペースインベーダーが伝統的な柄に溶け込まれ、日本の文化として発信される。

