金井志人さん(右)から染色工程の説明を受ける「ほていや」の社員(8日、龍郷町の金井工芸)
呉服販売の老舗チェーン「ほていや」(本社・愛知県、猪飼千壽子代表取締役)の産地研修が8日、龍郷町などで始まった。社員14人を含む16人が参加。一行は、9日までの2日間、織物工場や本場奄美大島紬協同組合などで研修を重ね、製品化までの工程を視察、大島紬の歴史や文化の奥深さを学ぶ。
同社は1962年創業。75年に呉服販売を始め、現在は中部・東海・北陸地区を中心に37店舗を展開している。大島紬は創業当初からの主力商品で、年間1千反の販売力を誇る。
奄美大島での研修は、呉服の基礎知識を習得した入社4年目の社員を対象に20年以上続けられており、参加者のほとんどは研修後、飛躍的に販売力が向上するという。
この日は、龍郷町戸口の㈲金井工芸で、泥染めを体験。熟練職人の金井志人(ゆきひと)さん(46)が、染料の抽出から泥染めまでを実演を交え説明した。
金井さんが、「週に600㌔のテーチ木(シャリンバイ)が必要になるが、調達が困難になりつつある。染色液は、生木(なまき)でないと色が出ない。切り出しにも労力がかかる」などと現状を説明すると、参加者は熱心にメモを取っていた。泥田の見学やストールを使った染色体験も行った。
縫製部門の指導員、中川寿里さん(37)は「単なる知識ではなく、文化そのものを知る機会となった。指導するうえで、より深く伝えていくことができる」と話した。
長野県の店舗に勤務する久保敦貴さん(25)は「我々の仕事は、客に着物の魅力を伝えることにある。職人の手間や苦労も含め知ってもらいたい」と話した。
取締役の猪飼マリナ室長は「研修を通し理解を深め、その価値をいかに説明できるかが大事。大島紬の歴史や文化とともに魅力を伝えていきたい」と語った。

