奄美で八重山伝統舞踊

奄美での公演実現に喜びをいっぱいにした川井会主(右から2番目)ら主催者(右は開催までの準備に奔走した実行委員の時本茂さん)

琉球弧の最北端・最南端結ぶ 喜界島出身・時本さん凱旋にも
古典の魅力に感動

 沖縄県指定無形文化財「八重山伝統舞踊」を継承している勤王流八重山伝統舞踊保存会「無錆之会(むしょうのかい)」(川井民枝会主)は11日、第16回温習会「灯々無尽(とうとうむじん)」を奄美市名瀬のアマホームPLAZAで開いた。喜界島出身の門下生・時本ひとみさんとの話の中での思い、門下生と同郷の南条かつみさんの協力で奄美では初めての公演が実現。時本さんにとっては凱旋(がいせん)公演になり、弓のように連なる琉球弧の最北端と最南端が舞踊によって結ばれた。

 無錆之会川井民枝舞踊道場は1991年に発足。大人から子どもまで会員は30人で、温習会は「会員のおさらい会」として開いており、地元での公演だけでなく台湾やニューカレドニア、タイなど海外、国内では東京や名古屋(愛知県)など大都市で開催してきた。

 奄美での開催について川井会主は「とてもうれしい。ご縁によってかない感謝している。八重山と奄美は伝統芸能の面で、沖縄本島を通り越えて酷似(こくじ)している」と語り、「八重山ではお祝いの後に六調節(ろくちょうぶし)を踊るが、奄美の六調と全く同じで、奄美がルーツと認識ししている。八重山の島々で盛んに行われている豊年祭も奄美と重なる。自然の恵みに感謝し五穀豊穣(ほうじょう)を願う祭祀(さいし)芸能が八重山の伝統舞踊。奄美の皆さんに楽しんでもらえたら」と親しみを込めた。

 会場となったマチナカホールは開場前から多くの来場があり、2階まで満席。公演のあいさつでは司会者から「灯々無尽」について「八重山の伝統芸能を正しく継承し世に伝え、その灯(あか)りを広める」との説明があり、「八重山は唄(うた)の国、舞(まい)の島。首里王府の琉球舞踊や古典との比較、門下生の練習の成果などを楽しんでほしい」と呼び掛けた。

 公演は3部構成。1部は勤王流舞踊の手として二十二の手形の説明から始まり、糸巻踊りの「かせかけ」(琉球舞踊)「かしかき」(八重山舞踊)の違い、同じ「鳩間節」でもしっとりとした正調とアップテンポの早弾きと、それぞれの魅力も届けられた。2部は南条かつみさんのショー、3部は仲宗根充さん(沖縄県指定無形文化財保持者)の民謡ライブなど盛りだくさんの公演となった。

 感動した様子で堪能していた80歳代の女性は「八重山の伝統舞踊はなかなか見る機会がなく初めて。古典が素晴らしかった。すてきでした」と語りながら余韻に浸っていた。