奄美市のソテツは外来種被害が急速に拡大し「ほぼ全滅」と深刻な状態にある
奄美大島に自生または植樹されているソテツに壊滅的な被害を与えているソテツシロカイガラムシ(アウラカスピス・ヤスマツイ=英語表記の通称CAS〈キャス〉)は、国の外来種リスト改定案で、「防除推進外来種」ではなく、低いカテゴリーの「防除検討外来種」に位置付けられた。島内の被害本数では最も多い奄美市は改定案について「原因が究明されていないため有効な対策が講じられていない」として、「まずは原因を明らかにする検討を進め、その上で対策の早急な推進を求めていきたい」との受け止めだ。
改定案では、▽防除推進外来種=生態系等被害が大きく、「積極的に防除する必要があるもの」▽防除検討外来種=防除推進外来種に比べ、生態系等へ及ぼす被害は小さいものの、生物多様性保全上重要な地域や、産業等への被害発生状況に応じて「防除を行う必要があるもの」―としており、これに基づいたリスト案への意見を環境省と農林水産省は募集している。
同市のソテツ被害対策窓口となっているのが農林水産課。同課管理係の中野寛仁係長は「守るべきエリア(保存樹や観光施設、道路沿い等)のソテツを重点にしながら被害葉の切除や薬剤散布といった防除対策を行っているが、目立った効果にはつながっていない。市内のソテツはほぼ全滅状態」と指摘し、「どこから入って来たのか(侵入ルート)、なぜソテツばかり被害、効果的な駆除方法、風によっても飛来するのか―など分かっていないことが多い。こうした根本的なことが明らかにならない限り対策は進まない。専門家や専門機関に依頼しての原因究明を県に要請していく」と説明。
今回の見直しについて「改定案の前の段階では、ソテツシロカイガラムシは外来種リストに記載されていなかった。今回の改定案での記載(新たなリストアップ)に対し、同じテーブルに着いたと評価すべきではないか。防除検討とされたことで、まず原因究明に向けた取り組みを期待したい。原因が明らかにならない限り効果的な対策につながらない。解決策を見いだした後、検討から推進へ防除対策をレベルアップしてほしい」と語った。
検討で原因究明や駆除方法を議論し、それを踏まえて優先順位を上(検討→推進)にとの考えだ。県と薬剤メーカーの実証試験により水稲で使用されている薬剤がソテツにも効果があると判明した中、登録の認可も県を通して国に早急な対応を働きかけていく。登録時にはかなりの数の薬剤が必要となることから購入補助も求める。
名瀬地区や笠利地区で特に目立つが、奄美市でソテツ被害が確認されたのは2022年11月。急速に拡大し、今年は現在の新芽の時期でも回復の状態はほとんど見られない。県がまとめた昨年12月末現在の被害本数(道路、公園、学校、店舗、公共施設、緑地帯など)は奄美群島全体(喜界町や徳之島町を含む)で8417本。このうちの6割の5085本が奄美市の被害本数。「市内の自治会や町内会に対して防除薬剤の無料配布もしているが、繰り返しての薬剤散布が必要、散布しても効き目がないといった状況から諦めも見られる。また、山地にあるソテツは所有者不明の所もあり、防除に至っていない」(市農林水産課)という実態にある。

