人やモノの移動。外海離島であっても活発化することが地域経済に成長と発展をもたらす(名瀬港)
「沖永良部からの移動で飛行機を利用して奄美大島へ出張するとした場合、現在の状況では2泊必要。与論からも会議の時間帯によっては2泊必要となる。同じ群島内。しかも空路。2泊しなければならないエリアだろうか。発着時間帯、増便を検討できないか。喜界間も4便から3便、現在は2便にまで減らされた。コロナ禍から日常が戻ったのに、航空便は戻っていない。奄美群島間の機材調整が不足しているように感じる。JACの翼は奄美群島よりも北の方に向いていないか。再考をお願いしたい」「一番戻っていないのが奄美―沖縄間の路線だ。乗り継ぎではなく直行便の復活、さらに以前のような大型機材によるジェット便の運航を求めたい。JACだけに任せるのではなくJALのネットワークの強化で関東、関西間で運航している機材を沖縄間でも活用できないか。JAL同様、スカイマークも奄美空港を定期航空会社として利用している。運航便数、路線を増やし奄美群島の発展に寄与する定期航空会社であってもらいたい。沖縄と本土間にある奄美というポジションを生かしてほしい。今は乗り換えしにくい空港。便数が増えることで乗り換えしやすい空港となる」
―それによって奄美空港のハブ空港化が実現する。ただ県内では鹿児島空港がその役割を担っている。離島の空港として難しいのでは。
「沖縄との交流の受け皿だ。沖縄からの搭乗客が奄美空港経由で国内の他の地域(福岡、大阪、羽田)へ移動できるようにすれば採算はとれる。沖縄は飛行機利用が旺盛。また鹿児島空港は立地の関係で気象リスクが多い。奄美や沖縄の空港では発生しない火山噴火で欠航という事態も起きている。沖縄の離島・石垣空港がハブ空港としての機能を備えている。利用客の多い国内8路線だけでなく、海外も3路線(韓国、台湾、香港)運航の石垣空港を参考にしてほしい。石垣では波照間など周辺離島間は高速艇で結んでおり、航空機との関連性で迅速な移動を可能としている」
―奄美群島間の移動に戻したい。群島全域を活性化させるため国立公園に着目しているようだが…
「世界自然遺産登録地は奄美大島と徳之島の2島。これに対し国立公園は群島内全域にある。観光に行きやすい場所にあり、学びながら観光を楽しむといったストーリー性を持たせる工夫により国立公園を売り込んでいけば群島全体の観光需要の底上げが可能となる。環境省が作成している資料などを参考にしながら活用すべきだ」
―昨年12月、法人会の交流事業として沖縄県を訪問している。経済団体同士の交流だけでなく名桜大学(北部広域市町村圏事務組合運営の公立大学)も訪れた。高等教育機関の必要性についての考えを。
「奄美の長年の課題となっているのが人口減少。なかでも18~24歳の世代が少ない。地元の高校卒業後、島外に流出してしまうからで、ここが沖縄との差。専門学校だけでなく高等教育機関として大学開設を目指すべきだ。大学の必要性、昔から言ってきたこと。これしか解決策はない」
―奄美で学ぶ、研究する。想定する分野は。
「亜熱帯海洋性気候に着目したい。温帯でもなく熱帯でもない、この特性によって多様な自然(動植物)が育まれた。燃えるような新緑の山々を見ると、CO2(二酸化炭素)削減といった脱炭素の研究を進める上でも奄美は最適ではないか。海洋科学や自然科学、ウェルビーイング(幸福度)をテーマにした社会科学、さらにシマ唄や伝統芸能など芸術文化も研究分野にしたい。地域課題を解決し活躍できる人材を創出していくためにも、こうした研究機能や役割は欠かせない。開設・運営の在り方は、やはり名桜大学を学ぶべきだ。群島内の行政機関が一体(広域連携)となり、既存の設備を生かす形で運営にあたる大学法人を創設する。公設後は、指定管理者制度のように民間に運営を任せ行政は支援するとした方が自由度は高い」「次の延長、改正奄振に高等教育機関の開設を盛り込むべきではないか。人口減少、若い人たちの少なさ。この課題克服には、この取り組みに尽きる。名桜大学の学生数は2千人余り。このうち5~6割は沖縄県外から入学した学生とされており、多いのは南への憧れだろうか。北国の北海道や東北地方と聞く。また、大学は学生に対し、積極的な社会貢献を呼び掛けており、多くの学生がアルバイトなどを通して地域を支える人材となっている。地元に就職したら優秀な人材として活躍するだろう。奄振も人材事業を柱にする時期だ。その具体策を大学開設にしたい」
奄美空港のハブ空港化、高等教育機関の話題になると言葉が数珠つなぎのようになり止まらない。あふれる情熱、さらに多くの資料などを読み込んでの展望が次々と繰り出される。実現に向けて経済界からの論客であり続けてほしい。(聞き手・徳島一蔵)

