適期逃し着果過多

奄美大島の果樹農業の柱となっているタンカン生産では、販売額向上により農家収益を高めていくためにも規格外品を減らす取り組みが課題となっている(光センサーが設置された奄美大島選果場の選果選別作業)

規格外品多さが販売額低下に
JA大島事業本部「奄美たんかん」 龍郷、宇検、瀬戸内3支所

 JAあまみ大島事業本部がまとめた2025年度産「奄美たんかん」実績で、販売額を1㌧(1000㌔㌘)で比較した場合、龍郷、宇検、瀬戸内の3支所が平均(37万8822円)を下回った。要因として規格外品の占める割合の高さがあり、適期を逃した収穫・出荷、着果過多の改善が求められる。

 品質によって分けられる等級は秀品が最高で、次いで優品、良品の順。25年度の販売価格(宅配)は5㌔㌘では、秀品6500円(キロあたり単価1300円)、優品5000円(同1000円)、良品4000円(同800円)となった。規格は3L~Mサイズで、M以下のSサイズは規格外品となる。秀品が高値で販売されるが、JAによると、消費者の引き合い(注文が多く安定的に販売される)のは優品と良品という。

 1㌧販売額の全体平均は37万8822円。等級別では秀品(比率20・1%)14万1038円、優品(同26・3%)13万1604円、良品(同32・8%)9万1887円となり、規格外品(同20・7%)になると1万4293円まで販売額は下がる。大島事業本部内7支所のうち平均額を下回ったのは龍郷(4万2858円減)、宇検(7万8783円減)、瀬戸内(3万9151円減)。他の4支所は上回っているが、最高は大和(7万3961円増)だった。

 販売額が低迷した3支所に共通するのに、規格外品の多さがある。比率でみた場合、龍郷が最も多く32・6%と全体の3割以上を占めた。宇検が26・5%、瀬戸内22・3%となり、いずれも規格外品の全体平均を上回った。JAの大山綱治・果樹技術指導員は、3支所の規格外品割合の高さについて「平場の果樹園が多く、収穫適期(平場は1月20~24日開始し、2月10日には終了)を逃し、2月下旬までの出荷が影響した。収穫が遅れるほど品質が劣化した果実が見られた」と指摘する。

 この3支所から持ち込まれたタンカンは、品質保証を可能とする光センサー選果機を通すことができないMサイズ以下の小玉が目立ったという。着果過多によるもので、「実のつけ過ぎにより果実の肥大が進まず、小玉収穫が規格外となった」(大山指導員)。

 対照的なのが大和支所。盆地の地形によって寒暖差が大きく、日照時間にも恵まれた高地(山地)の福元地区に多くの果樹園がある。等級比率と販売額をみると、▽秀品=32・9%、23万310円▽優品=30・8%、15万4074円▽良品=20・6%、5万7543円――となり、最高品質の秀品の占める割合が高く、規格外品は15・7%にとどまった。大山指導員は「仕上げ摘果がしっかりしている。その上で樹上選果や家庭選果も徹底しており、品質の良さ、規格外品の少なさが販売額を伸ばし、農家の収益につながった」と評価する。同事業本部生産部会連絡協議会果樹部会の藤村秀久会長も「秀品、優品の割合を高めることが農家の手取りをアップする」と呼び掛ける。

 なお、奄美大島の5市町村、JAあまみ大島事業本部、生産者代表で構成する奄美大島選果場管理運営協議会(事務局・奄美市農林水産課)では、推進員(熊本修さん)を配置し「あまみフルーツアイランド確立事業」を実施しており、タンカンと津之輝(つのかがやき)のブランド産地を目指し、①人材育成②品質保証③ブランド確立に取り組んでいる。品質保証の中で、光センサー規格外の果実割合を減らすための方策の一つとして「タンカンのクエン酸(滴定酸)の推移把握」を挙げ、実施に向けた指導を展開中だ。