ソテツシロカイガラムシ観察会

顕微鏡での観察によりソテツシロカイガラムシの幼虫、雌や雄成虫の形態的な特徴が把握された

屋外での自生ソテツの観察。新芽の確認はわずかにとどまった

顕微鏡で拡大、形態に迫る 雄成虫に羽、雌成虫は手足退化か
「しっかり見て対策を」 鹿大島嶼研

 鹿児島大学国際島嶼(とうしょ)教育研究センターは9日、奄美大島のソテツに壊滅的な被害を与えているソテツシロカイガラムシ(アウラカスピス・ヤスマツイ=英語表記の通称CAS〈キャス〉)観察会を奄美市名瀬の奄美博物館周辺で開いた。ふ化後間もない幼虫は0・2㍉、成虫(雌)でも約2㍉と非常に小さい。肉眼の場合、葉や幹への付着は白い粉のような殻しか見えない中、拡大可能な顕微鏡によって殻内の虫の本体を観察し形態的な特徴を学んだ。

 約20人が参加。同センター特任研究員の菊池隼人さんと北之坊誠也さんが講師を務めた。自生や植栽されたソテツ被害木を観察。現在、新芽の時期で順調に育てば葉になるが、参加者の報告に基づいた集計により新芽が確認できた幹の割合は3~6%にとどまり、9割以上は芽が出ておらず改めて被害の深刻さを参加者は実感した。

 屋外での観察から室内に移動し、葉に付着したソテツシロカイガラムシ(移動防止で容器内)を顕微鏡で観察。殻を取り除くことで虫の本体を見ることができ、その様子はモニター画面に映し出された。菊池さんの説明によると、▽孵化(ふか)直後の幼虫は動き回る▽雄・雌とも殻を作る▽雄成虫は透明の羽を持つ▽雌の成虫は殻の周りで卵を産む▽雌成虫は手足が退化したような状態で付着したまま――といった特徴があるという。

 菊池さんは参加者に「今回の顕微鏡観察を思い出し、虫や葉の様子などソテツをしっかりとこまめに観察する大切さを認識してほしい。それによって丁寧な対策が可能となる。葉が黄色くなったり縮んだり、枯れる前の薬剤散布によって被害を防除できる」と呼び掛け、観察が行動に結び付くことを期待した。参加した内山初美さん(73)は「外での観察だけでなく、顕微鏡によって(ソテツシロカイガラムシの)実態を見て学ぶことができ勉強になった。鹿児島大学だからこそできることではないか」と語った。

 観察会は今後も継続する方針。

 なお、沖縄県でのソテツシロカイガラムシ被害について調査研究している一般財団法人沖縄美ら島財団の辻本悟志さんは「被害が発生している沖縄島以外の周辺離島などに拡大させないため、拡散リスクとなる苗木移動の注意(地中60㌢での生存も確認されていることから、付着していないか注意深く観察)を求めている。奄美もまだ被害が報告されてない他の離島に広げることがないよう、苗木の移動に十分に注意することが必要ではないか」と指摘している。