県議会環境厚生委 徳之島入り

行政視察した徳之島世界遺産センター(写真上)と、徳之島徳洲会病院での意見交換=19日、徳之島町

自然遺産保全と離島医療視察
人材確保、支援継続訴え

 【徳之島】県議会環境厚生委員会(岩重礼(あや)委員長、10委員)の奄美地区行政視察が19日、徳之島地区で始まった。一行は、徳之島世界遺産センター(徳之島町花徳)や徳之島徳洲会病院(同町亀徳)などを訪れ、世界自然遺産の保全活用や離島医療の現状と課題について説明を受け、関係者と意見交換した。

 視察には岩重委員長ら委員10人が参加。県環境林務部の石﨑美和次長兼奄美世界自然遺産総括官らも同行。天城町の「アマミノクロウサギ観察小屋」、環境省が設置し3町協議会が運営する徳之島世界遺産センター、ロードキル(交通事故)や外来種対策の現場などを視察後、同島の民間中核医療機関の徳之島徳洲会病院を訪問した。

 徳之島世界遺産センターで担当者は、施設を「リビングミュージアム」と位置付け、奄美大島の「フィールド探索型ミュージアム」と差別化していることを紹介。自然遺産登録地域の特性に応じた自然保護や情報発信に取り組み、2024年12月の開館以来、累計来館者数は約5万9千人に上るという。団体利用の約3割は学校や教育旅行が占めている。

 特に「地域住民が何度も訪れ、自然遺産への理解と誇りを深められる施設を目指している」とも強調。今年は世界自然遺産登録5周年の節目に当たり、さらなる普及啓発活動に力を入れる考えを示した。

 一方、徳之島徳洲会病院では、昨年10月に新築移転した新病院の最新の設備を視察。徳洲会グループ(現在計93病院・約400施設、職員数約5万人)の創始者で地元出身の故徳田虎雄元理事長の理念を描いたドキュメント動画「命の虎」も鑑賞。病院側は、離島医療を取り巻く現状や人材確保の課題などを説明した。

 全国的な医師不足の中で「島民の生命を守るため工夫を重ねてきた」と述べ、支援継続の必要性を訴えた。看護師確保には、家賃補助や地域イベント参加支援、SNSによる情報発信など独自の取り組みも展開。ホエールウォッチングやサーフィンなどが楽しめる自然環境、高度医療の学習機会など離島ならではの魅力の発信も奏功しているという。

 周産期医療では、かつて産婦人科医不在の危機に直面したものの、徳之島3町と民間が連携して体制を整備。現在は常勤医3人体制で年間約120件の分べんに対応し、「里帰り出産」も原則受け入れている。

 また、新病院は台風や停電への備えとして、強風に耐える円形構造や約1週間稼働可能な非常用発電設備を整備。島内対応が困難な症例については、ドクターヘリや自衛隊ヘリを活用し、島外の医療機関と連携。一方で、過去の自衛隊ヘリ墜落事故(4隊員死亡)を踏まえ、「島内で完結できる医療体制を目指したい」との考えも示した。

 視察した県議からは「厳しい離島環境の中で、高水準の医療と自然保全活動を維持している関係者の努力に敬意を表したい」との声が上がった。一行は20日、奄美大島で視察を続ける。