世界自然遺産登録5周年を記念。環境学習発表や基調講演(円内・尾形日本財団会長)などで自然保護意識を再喚起し合った=29日、伊仙町ほーらい館
【徳之島】「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」世界自然遺産登録5周年を記念した講演会(伊仙町主催)が29日、伊仙町ほーらい館で開かれた。環境省や行政関係者、老若男女の住民ら約250人が参加。町内小中学生による環境学習の成果発表や、日本財団の尾形武寿会長による基調講演などで世界に誇る自然環境の価値を再認識し、その保全と次世代への継承意識を高めた。
開会にあたり主催者の伊田正則町長は、「世界自然遺産登録はゴールではなくスタート。島民一人一人が自然の価値を理解して守り、次世代へつないでいく責任がある」。希少野生動物への影響が課題となっている野良猫問題についても、環境省や県、徳之島3町が共同で策定した「猫管理計画」に基づき、生態系保全に向けた調査や対策をさらに進める考えを示した。
寺田雅一県副知事は塩田康一知事の祝辞を代読し、アマミノクロウサギやトクノシマトゲネズミなど徳之島固有の希少種の価値を強調しつつ、県としても「自然環境の保全と利用の両立にしっかり取り組んでいく」と述べた。
環境省沖縄奄美自然環境事務所の大林圭司所長は、琉球列島の成り立ちや中琉球に位置する徳之島の希少性なども解説しながら、5番目の本地域は「国内ではおそらく最後の世界自然遺産」。周辺管理地域を含めた総合的な環境保全と、時代に即した仕組みづくりの必要性も訴えた。
環境学習発表では、面縄小6年生らが「わたしたち徳之島環境調査隊~ウミガメの帰る海を守る~」をテーマに発表。プラスチックなど海洋ごみがウミガメの産卵やふ化に深刻な影響を与えている現状を報告し、海岸清掃活動の経験を踏まえてプラスチック製品の使用削減を呼び掛けた。
糸木名小6年生らは、フィールドワークを通じて学んだアマミノクロウサギや、日本最大級のどんぐりを実らせるオキナワウラジロガシについて紹介。自然を守るための美化活動の重要性を訴えた。
伊仙中2年生らは宿泊学習で訪れた世界自然遺産コアエリアの「剥岳(はげだけ)林道」、天城町与名間の「ムシロ瀬」海岸、徳之島町金見の「ソテツトンネル」などでの学習成果を発表。「徳之島の自然は当たり前にあるものではない。学んだことを家族や友人に伝え、守り続けていきたい」と語った。
基調講演を行った日本財団の尾形会長は、競艇収益金を活用した社会貢献事業を紹介するとともに、環境について主体的に学び発信する子どもたちの発表姿勢を高く評価。「子どもは地域の宝。自然について高い意識を持つ姿こそ、サスティナブル(持続可能)な社会に必要な姿だ」と述べ、徳之島の高いポテンシャル(潜在能力)に期待を寄せた。
一方、同時講演を予定していた社会貢献支援財団の安倍昭恵会長は、航空機トラブルによる欠航のため来島が1日延期となり、登壇を見送った。
会場では、40年以上にわたり奄美の生態系を撮影してきた写真家・浜田太氏(奄美市)から、町内全小中学校へ新写真集『Sanctuary(サンクチュアリ)』が寄贈された。
閉会にあたり幸田順一郎町教育長は、「環境教育は知識の習得だけでなく、地域を愛する心や未来を切り開く力を育むもの。学校、家庭、地域が連携しながら子どもたちの学びをさらに深めていきたい」と述べ、講演会を締めくくった。

