世界自然遺産のコアゾーンの梢(こずえ)を優しく揺らした演奏会も満喫(円内は安倍昭恵さん)=30日午前、徳之島町―天城町にかけた「剥岳林道」で
【徳之島】NPO法人徳之島虹の会(政武文理事長、会員約170人)は30日、設立15周年と世界自然遺産登録5周年を記念したイベント「剥岳(はげだけ)たんけん&コンサート」を開催した。家族連れを中心に約120人が参加し、世界自然遺産コアゾーンの豊かな自然を体感しながら、島唄やクラシック、オリジナルソングの演奏を楽しんだ。
徳之島虹の会は2011年に発足。「虹」は島の方言で「仲間」を意味し、設立以来、青少年を中心に自然や歴史、文化などの「島の宝」の魅力を伝える活動を展開してきた。世界自然遺産登録の推進やエコツーリズムの普及にも尽力し、環境省などから表彰を受けているほか、近年は公益財団法人社会貢献支援財団(安倍昭恵会長)からも顕彰された。
開会式で政理事長(73)は、「島には大学がなく、就職先も限られているため、多くの若者が高校卒業後に島を離れる。だからこそ徳之島に誇りを持ち、郷土愛を育んでほしい」。また、「世界自然遺産に登録された豊かな自然は島の宝。島の人々自身の手で守り、千年先の未来へ引き継いでいこう」と訴えた。
参加者は6班に分かれ、虹の会所属の認定エコツアーガイドの案内で剥岳林道(通り抜け片道約2・5㌔)を散策した。通常はゲートが施錠され、ガイドなしでは立ち入ることができない林道では、南西諸島最大級とされるオキナワウラジロガシの群生地も抜け、リュウキュウアカショウビンやサンコウチョウのさえずりに耳を傾けながら自然観察を楽しんだ。
そして林道沿いの3か所では特設ライブも実施。島唄の第一人者として知られる中島清彦さんらによる島唄、徳之島高校音楽教諭の幸多優さんらによる木管五重奏、シンガーソングファーマー・禎一馬さんと中学生シンガーのしずくさん(犬田布中3年)による演奏が披露され、参加者を魅了した。
子ども3人とともに参加した徳之島町母間の満田志保さん(46)は、「世界自然遺産の中で貴重な自然に親しみながら演奏を聴けるのは、とてもぜいたくで特別な体験。私もクラリネットを演奏するが、森の中での音の響きは本当に素晴らしかった」と笑顔で話した。
また、社会貢献支援財団の安倍会長も会場を訪れた。航空機のトラブル欠航により前日の世界自然遺産登録5周年記念講演には参加できなかったものの、日帰りの日程で林道を訪問。虹の会の活動を高く評価した上で、約半年ぶりの来島に「徳之島は私にとって癒しにも。素晴らしい演奏会は各地にあるが、世界自然遺産の森の中で聴く音楽には特別な感動がある」と語り、自然と音楽が織りなすひとときを満喫していた。

