徳之島で「奄美農業を語る会」

耕畜連携、持続可能な農業推進への課題なども共有した「奄美農業を語る会」(パネル討議)=16日、徳之島町亀津

耕畜連携、持続可能な対策を
資材高騰対応など討議も 県農業経営者クラブ

 【徳之島】2026年度「奄美農業を語る会」(県農業経営者クラブ徳之島支部主催)が16日、徳之島で開かれた。奄美群島の地域農業をけん引する農業経営者クラブ員をはじめ、大平晃久県農政部長ら農政関係者、関係団体代表ら約50人が参加。現地検討会や事例発表、パネル討議を通じて、生産資材価格の高騰への対応や「耕畜連携」推進による持続可能な離島農業の確立に向け、課題や先進事例を共有した。

 同会は、県農政部など農政と県農業経営者クラブの代表らが一堂に会し、地域農業を取り巻く課題について意見交換を行うことで、クラブ員相互の資質向上と地域農業の発展につなげることを目的に毎年県内3地区実施。その今年度第1回として実施された。

 開催に先立ち、参加者は伊仙町内でバレイショ後作(裏作)として取り組まれている落花生栽培実証ほ場と、生産牛706頭・飼料畑約60㌶を有する県内屈指・群島最大規模の肉用牛生産の経営体㈱永吉ファーム(徳之島町亀津、永吉輝彦代表)の2か所を視察。取り組み状況や課題、今後の目標などを熱心に質問。

 その後、JAあまみ徳之島事業本部ホールで室内検討会を開き、事例発表とパネル討議を実施した。

 事例発表では、天城町瀬滝の農業法人「アトムファーム」代表の林栄作さん(52)が「エコハカマ回収利用の取り組み」を紹介。肉用牛110頭とサトウキビの複合経営の中で、ハーベスター収穫時に排出されるキビの梢頭部やハカマ(枯れ葉)を回収し、自給飼料や牛舎の敷料として活用することでコスト削減につなげている事例を報告。林さんは「地域内で資源を循環させる『耕畜連携』こそが、経営経費を削減し、地域経済への波及効果を高める鍵になる」と意義を強調した。

 パネル討議では「資材高騰等への対応について」をテーマに、県農業経営者クラブ徳之島支部の竹田邦男副支部長(54)が座長を務め、大島支部の野菜農家・原田学さん(62)、沖永良部支部の花き農家・牧野宏秋さん(46)、徳之島支部でサトウキビとバレイショを大規模栽培する仲洋志郎さん(43)が登壇した。

 仲さんは、価格高騰が続く化学肥料に代わり、島外から安価な鶏ふんを大量に投入して追肥し、単収向上を図った取り組みも紹介。質疑では、会場から河川の汚泥を活用した「汚泥肥料」による土づくりの実証例も紹介され、参加者の関心を集めた。

 ほか、離島農業の大きな課題である輸送・物流コストについても議論が及んだ。参加者からは「船が止まると島内のスーパーから食料が消え、牛の飼料も底を突く。廃校となった学校施設などを活用し、食料や農業資材を備蓄する『地域備蓄基地』のような仕組みが必要ではないか」との提案も出され、物流リスクへの備えの重要性が共有された。

 経営者クラブの西彦二徳之島支部長は「今日の語る会が、それぞれの経験を持ち寄り、厳しい状況の中でも稼ぐ力を高めるヒントになったはず。関係機関とも連携しながら、地域農業の未来を切り拓いていきたい」と呼び掛けた。

 県農政部の大平部長は講評で、「県の目標は『農業の稼ぐ力』の向上。単収と単価アップ、コスト削減など、それぞれの経営に応じた改善策を分析し、最も利益につながる支援を進めたい。今回の会合で得られた意見を踏まえ、地域と一体となって農業振興に取り組みたい」と述べた。