市道沿いで昆虫トラップ

市道沿いで昆虫トラップ

奄美市笠利町の市道沿いで確認された昆虫トラップと設置された樹木(提供写真)

奄美市笠利町 国立公園規制外
「持ち出される可能性」「強化を」
共同文書理解呼び掛け

 奄美市笠利町の市道沿い樹木林帯で今月中旬、昆虫トラップ(わな)が設置されているのを地元住民が見つけた。ネット状の網の中には焼酎を染み込ませたバナナがあり、クワガタなどの採取を目的にしたとみられている。奄美群島国立公園の特別保護地区や特別地域ではないため規制外だが、住民は「採取禁止の昆虫が持ち出される可能性がある。規制強化に乗り出すべきではないか」と訴える。

 住民によると、トラップを見つけたのは今月13日。市道土盛―赤木名線沿い。樹木にナイロンテープで固定しているトラップを2か所見つけたという。住民は「奄美大島にしか生息しない在来の希少なクワガタ類を採取し持ち出そうとしていたのではないか。ネットでは高値で販売されていると聞く」と話す。

 トラップと同時に、レンタカーを利用した男性2人連れを見掛けたという。「観光を装ってレンタカーで移動してトラップを仕掛けている。希少種が採取される恐れ、さらに景観上も問題だと思い歯がゆさからトラップを撤去しているが、また仕掛けられ、いたちごっこの状態。国立公園以外の地域でも規制できないものか」と住民。

 龍郷町の長雲峠一帯でも以前は夏になると昆虫トラップが見られた。同公園ビジターセンター奄美自然観察の森・川畑力指導員は「国立公園になってから観察の森周辺でトラップを見掛けることはなくなった。国立公園保護地区・地域では設置が禁止されていることを認識し、それ以外の地域に設置しているのではないか。市町村道に面しているのなら、管理している自治体がトラップを取り除くことができるようにしてもいいのではないか」と語る。

 奄美市世界自然遺産課は「昆虫トラップを見掛けた、違法ではないのかという問い合わせが寄せられている。国立公園以外は規制の対象になっていないが、昨年6月に出した『動植物持ち出しに関する共同文書』に対する理解と協力を引き続き呼び掛けていきたい」としている。共同文書を出したのは奄美大島自然保護協議会(奄美大島5市町村)、徳之島地区自然保護協議会(徳之島3町)、県、環境省奄美群島国立公園管理事務所、世界自然遺産推進共同体(群島内外の企業・団体で構成)の5機関だ。

 奄美大島や徳之島では在来の固有種や希少種を中心に法や条例で捕獲や採取が禁止されている一方、規制対象外種のカエルやクワガタなどが商用目的で大量に島外に持ち出されている。共同文書では「動植物の持ち出しによって大切な『島の一員』が失われることは、島の生物多様性を脅かし、島の生態系の劣化にもつながりかねない。また、これらの島の動植物が他地域で外来種となる懸念も生じる」として、こうした事態を避けるために動植物の島外への持ち出し自粛を求めている。