【準々決勝・鹿児島実―大島】3回表大島二死二塁、3番・田畑が右前適時打を放ち、3点目=平和リース
【鹿児島】第108回全国高校野球選手権記念鹿児島大会第15日は19日、鹿児島市の平和リース球場で準々決勝2試合があった。
奄美勢は大島が第7シード鹿児島実と対戦。前半リードして優位に試合を進めるも、後半逆転され、再び同点に追いついたが、最後は延長十回でサヨナラ負けだった。
第16日は20日、同球場で準々決勝2試合がある。
【評】大島は二回表、一死一三塁から7番・田邊がスクイズを決めて先制。更に重盗を決めて2点を先取した。その裏1点を返されたが、三回表に3番・田畑の右前適時打で再び2点差とした。五回までは優位に試合を進めていたが六回裏、無死満塁からエラーと内野ゴロ、無安打で同点に追いつかれ、七回に勝ち越しを許した。八回表、一死一三塁として4番・山田の適時内野安打で試合を振り出しに戻した。同点のままタイブレークの延長へ。表の攻撃で得点を挙げられず、その裏勝ち越し打を浴び、無念のサヨナラ負けとなった。
相手は過去の先輩たちが幾度となく涙をのんできた鹿児島実。そんな相手を最後まで苦しめた大島だったが、乗り越えることはできなかった。
先制し、優位に試合を進めた五回までは、大島の今大会を通じた成長ぶりが随所に出ていた。「このレベルの投手を相手に待っていたら攻略できない。甘い球は初球からでも積極的に打っていった」4番・山田大芽主将が二回の先頭打席で初球から果敢に打ちにいき、右前に弾き返し、チーム全体を勢いづけた。スクイズ、重盗、大技小技を織り交ぜた攻撃で先手をとった。先発左腕・村田は球速の変わらない直球と変化球を駆使して、強打の鹿実打線の狙いを巧みにかわし、五回までを1失点に抑えた。
課題は、後半、競った展開になってからの試合運び。無安打で同点に追いつかれた六回の守備、八回同点に追いついた後のバント失敗、けん制アウト…攻守とも「普段の練習なら当たり前にできていること」(上野力監督)ができていなかった。
投げる力、打つ力は「強豪私学にも渡り合える力はつけた」(山田主将)手応えはある。こういう競った勝負をモノにするために必要なのは何だろうか? 「経験を積むこと」だと上野監督は言う。秋春、県選抜、県大会を勝ち抜いた経験の積み重ねがチームを強くするのは間違いない。4年前、準優勝した大島も、その前の代から何代にも渡って積み重ねてきた経験が昇華したものだ。最後に打ち負け、悔し涙を流したことも含めて「良い経験を後輩たちに残せた」(山田主将)のは間違いない。これを生かすことができるかどうか、後輩たちの秋以降にかかっている。
(政純一郎)

二回表、先頭の山田主将が右前打を放った。チームの大黒柱が140㌔台の球威に振り負けず、お手本を示したことで気持ちが乗った。
180㌢、82㌔の見た目通り「強気な打撃が持ち味」で指名打者に起用されているからには燃えないはずはない。140㌔台の直球に、気持ちもスイングスピードも負けることなく、中前に弾き返し、一三塁と好機を広げ、スクイズの先制点をお膳立てした。
打に続いて足でも強気なプレーを見せた。なおも二死一三塁の追加点の好機。一走・里に盗塁のサインが出た。三走の自分にサインは出ていなかったが、上野監督と目が合い「行けたら、行け!」のベンチの空気を察した。捕手が二塁送球を仕掛けた瞬間、「絶対、セーフになってみせる!」と覚悟を決め、スタートを切り、見事に重盗を成功させた=写真=。「練習ではよくやっているけど、試合ではなかなか決まらなかった」大技を、ここ一番の大舞台で決めることができた。
打撃は得意だが、外野の守備に難があり、昨秋まではレギュラーをとれず悶々としていた。代打1打席ぐらいしか役目が回ってこなかった。この春からDH制が採用され、チームで役に立てる場面が増えた。「低く、強い打球を打てるようになれ」という上野監督のメッセージを意気に感じ、ひたすらバットを振り続け、打撃を磨いた。
元々は島を出て本土の強豪校に進学しようかと思ったが、山田主将たちと「島から甲子園を目指す」大高での高校野球に青春をかけた。DHとして4試合フル出場。「もっともっと打ってチームに貢献したかった」悔しさはあるが「仲間たちと一緒に過ごせて、楽しく、幸せな高校野球だった」と心から思えた。
(政純一郎)

