世界自然遺産登録5年特別対談 ㊤

 野口健(のぐち・けん) 1973(昭和48)年8月21日、米国ボストン生まれ。7大陸最高峰世界最年少登頂記録を25歳で達成。テレビやコマーシャルで活躍するほか、富士山やヒマラヤでの清掃活動など環境問題にも取り組んでいる。


 保岡宏武(やすおか・ひろたけ) 1973(昭和48)年5月6日、名瀬市(現奄美市)生まれ。 父・保岡興治衆院議員公設第一秘書などを経て、2021年の衆院選で初当選。安全保障委員会、憲法審査会所属。自民党奄美振興特別委員会事務局次長を歴任。

生命力あふれる自然に感動(野口)
雨が降ると島独特の「氣」感じる(保岡)

 6月、衆議院議員保岡宏武氏の事務所で世界を舞台に活躍するアルピニストの野口健氏と、現職唯一の奄美群島出身議員保岡氏が、世界自然遺産登録5周年を迎えた奄美について自然や文化、食への思いを語り合った。島の発展や自然保護活動、安全保障等、話題は多岐に。多くの問題意識を共有していることを確認。終始和やかな雰囲気の中にも、かけがえのない自然や安全な暮らしを守るため、共に歩みを進める決意を確かめ合った。全3回に分けておくる「特別対談」。第1回は、奄美大島の魅力を中心に届ける。(東京支局=文・高田賢一、写真・屋宮秀美)

キーワードは究極のエコツーリズム(野口)
島々で独特の文化・魅力が特徴(保岡)

 野口 確か、2009年頃だった。奄美を訪れたのはその一度きりです。台風の時期だったのですが、奄美の森がものすごく良かった記憶がありますね。

 保岡 それが初めての奄美ですか。具体的に、どういったところが印象に残っていますか。

 野口 世界自然遺産登録(以下・世界遺産)の前だったのですが、鬱蒼としたシダの森に川が流れ、素晴らしい自然が、生命力にあふれていると直感したのを昨日のことのように覚えています。天気が悪かったのに楽しめた、観光地ではちょっと考えられない感覚でした。

 保岡 奄美は天気が悪くても堪能できる特別な所とも言えますね。晴れている時は、分かりやすく「奄美ブルー」のイメージがあるかと思いますが、雨が降ると、島独特の「氣」を感じるというか、大地の生命力が、晴れの日とはまた違った美しさを醸し出します。

 野口 まさにそんな感じです。だからこそ、たった一度の訪問でも強い印象が残っている。同じように諸島として世界遺産登録されている東京都の小笠原諸島は、メーンになる父島の観光は、晴天が前提なのです。ところが奄美の場合、そこが違っていたのが、驚きでしたね。雨の方が雰囲気もありますしね。

 保岡 そのようにおっしゃっていただけると、うれしいです。

 野口 そうそう。恐竜時代のジャングルに迷い込んだような雰囲気には圧倒されました。

 保岡 ジュラシックパークの中の世界みたいですよね。そうした経験ができるのも、奄美ならではですね。

 野口 あとは田中一村の生家、西郷隆盛が過ごした家などにも行きました。そういえば、西郷さんは奄美に島流しにあったのですよね。

 保岡 西郷さんは、一度目は奄美大島に、二度目は徳之島を経由し沖永良部に、政治犯として島流しに遭いました。でも島での生活や人との交わりがその後の西郷さんの生き方・考え方を大きく変えることになったのです。奄美というのは、そんな人柄土地柄なのです。(と言いながら、地図を指さし、西郷隆盛ゆかりの地、奄美大島、徳之島、沖永良部島の説明をする)

 野口 素晴らしい。また奄美の思い出といえば、ハブ捕り名人やシマ唄を上手に唄う中学生も印象に残っています。あと鶏飯もめちゃくちゃおいしかったなぁ。また食べたいなぁ(としみじみ)。

 保岡 確かに奄美には古から残る大自然だけでなく、独特の空気感や人々の暮らし、大島紬やシマ唄、食など独自の文化があります。話は変わりますが、奄美大島・徳之島が世界自然遺産登録5周年を迎えます。徳之島には闘牛文化もありますし、奄美大島とはまた違った見所がたっぷり詰まっています。各島々で独特の文化があり、魅力があるのも奄美の特徴です。各地を知り尽くした野口さんから見た、奄美の島々はいかがですか。

 野口 奄美群島のキーワードは、究極のエコツーリズムだと思っています。(2回目につづく)