世界自然遺産登録5年特別対談㊦

防衛問題は外の人たちが言う印象(野口)
安全保障問題は慎重に(保岡)

 世界自然遺産登録5周年を迎えた、特別対談の第3回。世界の各地を旅してきた野口健氏と安全保障委員会に所属する保岡宏武議員は、防衛問題にも話題が移行。そして…いつしか話題は、好物だという黒糖焼酎についてまで広がった。

パッションフルーツに感激(野口)
黒糖焼酎は奄美群島にだけ製造許された「宝物」(保岡)

 保岡 野口さんは遺骨収集にも力を入れているそうですが、どのような背景があるのですか。

 野口 祖父から何度も繰り返し戦争経験の話を聞いて育ちました。当時若手参謀だった祖父は歩けなくなった部下には自決を命じ、自らは日本に戻ってきてしまう。「どうしても連れて帰りたかった」という祖父の言葉が頭から離れず、孫である僕が、その思いを継ぐことに。日本はアメリカと比べ、遺骨収集への力の入れ方が弱いと感じています。国のために亡くなった人を大切にしてもらいたい。

 保岡 遺骨収集は、ご遺族だけでなく国家にとっても重要。ご遺族の高齢化が進む中、残された時間は長くはありません。野口さんのように現場で尽力されている遺骨収集者の状況も重く受け止め、一人の政治家として、今後遺骨収集がより速く進むように頑張っていきたい。

 野口 国のためにといえば、沖縄の防衛問題についていろいろ言っているのは外部の人で、意外と島の人たちはそうでもない気がしますが、奄美はどうですか。

 保岡 特にこの1年、奄美の皆さんと話していると、防衛への関心が高くなっているように感じます。自衛隊が来て地域が活性化されることへの期待半分。自衛隊の施設があることで、島は本当に大丈夫かという不安半分。島民の期待と不安、両面をしっかりケアできる政治が必要だとの思いを強くしています。

 野口 僕は戦いにしないためにも、自衛隊がそこにあったほうがいいと思う。

 保岡 そうですね。駐屯地のリスクは少ないですし、災害が多い島の状況を考えると、自衛隊の存在は大きいと私も考えます。戦後80年が経ち、時代の転換期であることや、防衛の仕方が劇的に変化していることも含め、国の安全保障問題は待ったなしで、目を背けて通れない状況にあると思います。

 野口 話は変わりますが、奄美では黒糖焼酎のうまさも記憶に残っています(笑)。

 保岡 黒糖焼酎を気に入っていただけたのですね。私も大好きです。野口さんは、普段どのように飲まれますか。

 野口 特別な飲み方があるのですか。

 保岡 少しぜいたくですが黒糖焼酎を炭酸で割って、それにパッションフルーツを入れて飲むと、とてもおいしくてお薦めです。僕は、翌日何もなければ、ジョッキでどんどん飲んじゃう。次の日が大変なので(笑)、最近は気をつけながらたしなむ程度にしています。

 野口 種ごとですか。それはいい。 ぜひ試してみたい。確か保岡さんは大学院で焼酎を学ばれていますよね。

 保岡 よくご存じで。鹿児島大学の大学院に仕事をしながら通って、焼酎学の修士を取りました。実は黒糖焼酎は、奄美群島内でしか製造が許可されていないのです。まさに、島の「宝」です。そういえば、ちょうどパッションフルーツがあったはず。(と言って持ってくる)

 野口 うまいです。これに黒糖焼酎を合わせると最高でしょうね。(と満面の笑み)。屋久島の知り合いからもパッションフルーツを送ってもらうけれど、そうした飲み方は知らなかったなぁ。

 保岡 種子島の焼酎はおそらく芋でしょうから、黒糖焼酎ほどパッションフルーツは合わない気がします。今度じっくりと黒糖焼酎を飲み交わしながら、この続きを語り合いたいものです。

 野口 大賛成です。〆に鶏飯もいただきたいものですね(笑)。

 保岡 喜んでご案内します。その際はぜひ、奄美の豊かな自然と温かい人々に触れ合ってもらい、シマ唄でも聴きながら、明日への英気を養いましょう。

 野口 保岡(笑顔で握手)

     =おわり=

 (編集後記)初対面とは思えない、終始和やかな雰囲気。笑顔が飛び交う時間が心地よかった。盛り上がったその背景には奄美の豊かな自然と文化、そして島の人たちがあったに違いない。子どもたちの未来を明るくすることも、共通認識として印象的だった。「同級生」の二人が、黒糖焼酎を交わしながら再び語り合う場面に立ち会いたいと願う。記者に爽快な「遺産」を与えてくれた両氏と、異色対談実現に奔走した関係者に感謝する。(東京支局・高田賢一)

 *厚生労働省などによると現在本土以外で亡くなられた人々は約240万人、そのうちの約128万柱が収容された。残り約112万柱のうち、53万柱が収容困難、残りが59万柱、戦後80年で35万柱しか収容できていない状況だという。