カクチョウランの一部は、土砂と一緒に積み上げられていた=提供写真=

今年5月には、大きな花を咲かせていた=提供写真=
大和村の村道湯湾岳線で7月下旬、ラン科の大型自生植物、カクチョウラン(鶴頂蘭)2株が消失しているのを奄美市の自然愛好家が発見した。5月には、同じ場所で花を咲かせていたことから、道路の側溝にたまった土砂などを取り除くしゅんせつ工事で誤って伐採(除去)されたとみられる。
カクチョウランは、環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類(VU)。県や奄美大島5市町村の「希少動植物の保護に関する条例」で採取が禁止されており、違反者には罰則が科せられる。
山下弘さん著『奄美の絶滅危惧植物』によると、カクチョウランはやや明るい山地林縁に生え、長さ60~120㌢の茎の先に白・赤褐色・紅紫色の花をつける。開花期は5~6月。
花がない時期は葉と偽球茎(バルブ=ぷっくり肥大化した部分)だけの姿になるため、雑草などが茂る林床や草地では、見つけにくいことがある。
伐採されたとみられる場所は、林道の側溝と崖にはさまれた幅約30㌢の狭い場所。整地されたようなしゅんせつ工事の後が残っており、カクチョウランの一部は、道路をはさんだ反対側に土砂とともに積み上げられていた。
同工事は、村建設課が業者に発注し7月初旬に行われた。担当課長は「希少植物があるという情報は把握していなかった。近く調査を行い、ほかの課が把握していたのかを含め協議したい」と話した。
自然愛好家の関係者は「5年以上前から確認されていた古株。毎年20輪ほどの花を咲かせていた。この間も工事は行われたが、刈り取られることはなかった」と状況を説明。 「行政発注工事による誤伐採は、各地で毎年のように繰り返されている。情報共有がなされていればこうした問題は起きない。希少種の価値を再認識し、再発を防いでほしい」と話した。

