保枝さん 9月から福祉タクシー開業へ

保枝さん 9月から福祉タクシー開業へ

県立大島病院で救急医療に携わった経験を生かし医療搬送などに取り組むため「みんなの福祉タクシー」を開業する保枝将宗さん
大型の福祉車両で対応。リフト付きのストレッチャーを搭載しており、寝たきりで乗り込むことが可能だ

ストレッチャーも備え搬送安心
フライトナースとして救急医療最前線経験
医療搬送、家族の思い出作りも

県立大島病院の救命救急センターに勤務し、ドクターヘリに乗るフライトナースとして救急医療の最前線に立った経験がある看護師が9月から奄美市名瀬を拠点に福祉タクシー業に乗り出す。リフト付きのストレッチャーを備え、車椅子2台搭載の福祉車両(ハイエース)で救急車並みの大きさ。医療機関への搬送対応のほか、施設入所者などの外出支援で家族との思い出作りにも役立ててもらう。

「障がいのある小さなお子さんから高齢者まで多くの皆さんに親しみを持って利用していただきたい」との願いを込め、「みんなの福祉タクシー」と名付け開業するのは名瀬朝仁新町の保枝将宗(やすえだ まさむね)さん(35)。県立大島高校卒後、奄美看護福祉専門学校に進学し看護師として県職員(県立病院局)に採用された。初任地だった鹿屋医療センターで3年間勤務後、地元の県立大島病院で11年間勤務(うちドクターヘリ搭乗は7年間)し、今年7月末に退職した。

救命救急センターで救急医療に携わり、1分1秒を争う安全管理とケアを徹底してきたという保枝さん。「搬送される高齢者は一人暮らしなどが多く、治療あるいは検査後に帰宅できるようになってもサポートできるような機能を備えたタクシーが少なく、なかなか利用できない。自宅に帰れるのに帰れない不便さ」に直面する様子を何度も見てきた。搬送後、自宅に戻る方法としても利用を受け入れる。また、救急医療は救急車による患者の搬送からスタートするが、「現在は代替手段がないため、準緊急患者も救急車が対応しているのが現状。それによって本当に必要な患者への出動が遅れる可能性がある。医療搬送(通院・転院・入退院)に対応することで救急車の有効活用にもつながるのではないか」というのも今回の事業開始の目的だ。

看護師である保枝さん自身が運転(普通2種免許)する福祉タクシー車両は、運転手を除き付き添いとして6人が乗り込める広さ。寝たきりのまま利用できるストレッチャー、移動用の車椅子、医療機器のAED(自動体外式除細動器)、たん吸引器、酸素ボンベ、オムツ、防水シートなども車内には準備する。総額で約300万円の費用をかけた。

「祖父母好き。なかでも母方の祖母にはとってもかわいがってもらった」という保枝さん。提供する福祉タクシー(介護タクシー)は、「介護保険外だからこそ柔軟な対応ができる」として、福祉施設入所者あるいは在宅者でも寝たきり・車椅子使用で諦めていた外出を支援し、「思い出が刻まれた場所に家族で再び出掛けることができるよう全力でサポートしていく。祖父母のような高齢者の皆さんが笑顔になれるようにしたい」と話す。

買い物、墓参り、旅行、冠婚葬祭、空港・港への送迎などのほか、荷物運びや台風対策といった救援事業も行う。事業開始にあたっては関係する行政手続きを終了し全て許可済みという。料金目安は「運賃+介助料+資機材使用料(税込み)」で、初乗り740円(5㌔約2400円)、貸し切り30分3千円など運賃は九州運輸局で定められている。奄美市笠利町から瀬戸内町まで奄美大島内対応可能で、緊急時は24時間応じる。介助料金は基本・室内・階段の各介助を設定しているが、年内(9月1日~12月31日)は利用促進へ開業キャンペーンとして基本介助料を無料とする。

妻、2人の子どもと自身の家族との時間を大切にしながら福祉タクシー業務に取り組む保枝さんは「これまで培ってきた医療知識と技術で、皆さんへ笑顔と最高の安心を届けたい。気軽に相談していただきたい」と呼びかけている。「みんなの福祉タクシー」電話080・8490・1266(基本受け付け月曜~土曜日午前8時~午後5時=運転中・休日は出られないことあり)。