東大大学院で博士号を取得した城渚紗さん(3日、奄美新聞社)
東京大学大学院の総合文化研究科博士課程で地域文化研究を専攻していた奄美市名瀬出身の城渚紗(きずき・なぎさ)さん(35)が3日、父親の昭久さん(72)ととともに奄美新聞社を訪れ、研究分野で博士号(学術)を取得したことを報告した。城さんは10月から東京の大学で非常勤講師として教壇に立つことが決まっており、新たなステージに向け意欲を語った。
城さんは2009年大島高校を卒業し東京学芸大学教育学部に進学、人文科学を学びたいと多言語多文化コースを専攻した。17年東京大学大学院に「院進」、19年には博士課程に進学した。
この間の主な研究テーマは東アジア現代史。戦時中、日本統治下の朝鮮半島から旧樺太(現サハリン)へ労働力として渡り、戦後現地に置き去りにされた朝鮮半島出身者の戦後処理についての調査が研究の中心となった。
城さんが東アジアの歴史研究に傾倒したきっかけは、幼い頃祖父母に聞かされた戦争の話。小中学校の郷土教育では、薩摩藩や米軍による統治など、外圧にほんろうされ続けた郷土の歴史が〝強烈〟な印象として残ったという。
同時に疑問となったのが歴史観。奄美を中心とした郷土教育からは、「日本における奄美」「アジアにおける奄美」としての視点が欠け、〝言語化できないもどかしさ〟を感じていたという。大学でアカデミックな歴史に触れ、視座が進化したと語った。
現在は、北朝鮮や韓国に関する多様な分野の学際的研究を行う東大総合文化研究科グローバル地域研究機構韓国学研究センター(CKS)特任研究員として、韓国の公的機関との調整役を担っている。
城さんにとって現在の職場は、研究者としてのキャリアステージ(発展段階)の一つに過ぎない。将来を見据える目は、非常勤講師をステップに、自立した研究者としての道を歩む探究心と気概に満ちていた。

