奄美群島文化財保護対策連絡協議会の研修会では、天然記念物オカヤドカリにかかわる無断現状変更についての説明もあった
長年の功績に対し、瀬戸内町の内田百一氏が表彰された
奄美群島文化財保護対策連絡協議会(四本延宏会長)は18日、2025年度総会・研修会を瀬戸内町のきゅら島交流館で開いた。研修では県教育委員会文化財課が講師を務めたが、この中で天然記念物オカヤドカリの大量捕獲で問題になった文化財の無断現状変更が取り上げられた。「大きな課題」とする一方、生息場所のパトロールが必要となっているものの、人的、予算的な制約があるとした。
総会・研修会には群島12市町村の文化財保護審議会の会長や委員、教育委員会の担当職員、事務局の県大島教育事務所の担当者が出席。総会では24年度事業・決算・監査報告後、役員が承認され、25年度事業計画・予算を承認した。
研修会では四本会長、大島教育事務所の別枝昌仁所長があいさつ。特色ある活動を通しての地域文化の継承・発展、各学校での取り組みで伝統文化を担う子どもの育成に努めていることが報告された。
今年度の表彰は団体の部はなく、個人の部で瀬戸内町の内田百一氏(80)を表彰。四本会長から表彰状が手渡された。内田氏は05年から同町文化財保護審議員を継続20年務め、特に県指定無形民俗文化財「油井の豊年踊り」の保存継承活動のリーダーとして尽力した。
地区文化財行政の重点施策等については大島教育事務所が説明。地域文化の継承・発展と地域づくりの活用へ▽奄美のよさや伝統文化、先人の生き方を学ぶ学習活動の充実▽家庭、地域と連携した島唄・島口・八月踊り・文化財等の伝統文化を継承する活動の推進▽学校行事等における地域伝統文化の鑑賞機会の充実―を挙げた。
「県文化財保護行政の重点施策について」と題して講話したのは、県教委文化財課の森幸一郎文化財主事。種子島から与論島に至る島々で伝承される黒糖の製糖技術が「薩南諸島の黒糖製造技術」として国の無形民俗文化財に登録された中、今年度、各島々の製糖技術を紹介するパンフレット作成に取り組むことを報告。文化財保護行政の課題では文化財専門職員・発掘調査作業員の確保、史跡の災害復旧と防災、近世・近代遺跡の取り扱い、水中遺跡の調査・保護などを挙げ、近世・近代遺跡については国の指針が示されていることをアドバイスした。
中国籍の男3人により大量捕獲(文化財保護法違反容疑で逮捕)されたオカヤドカリの説明もあった。小笠原諸島の日本復帰に伴い国指定天然記念物に指定されたもので、その後、1972年に沖縄が日本へ返還されたところ、沖縄県と(既に日本に復帰していた)奄美群島にもオカヤドカリが生息していることが判明し、奄美のオカヤドカリも国指定天然記念物として保護の対象となった経緯を説明。
今回、表面化したオカヤドカリの大量持ち出し(文化財の無断現状変更)を受けて、奄美大島自然保護協議会、徳之島地区自然保護協議会など4団体等と鹿児島県との連名で「奄美大島・徳之島の動植物の持ち出しに関する共同文書」が発出された。オカヤドカリを含む動植物の持ち出しについて観光客などへの注意喚起・普及啓発実施のほか、森文化財主事は「奄美市では注意喚起のポスター等を作成予定。生息場所のパトロールや空港・港などでのチェックは制約され課題がある」と述べ、調査・研究のための持ち出しについては「バランス面を考慮して現状変更とは切り分ける必要がある」と指摘した。
午後からは国史跡として登録された奄美大島要塞(ようさい)跡など同町の文化財などの視察があった。

