書籍が並ぶ売り場に立つ前平代表(左)と太利店長
喜界島の島民に長く親しまれてきた書店「ブックス銀座」が今月13日で、書籍販売に幕を下ろす。先代から店を継ぎ、経営母体を変えながらも島唯一の書店を守ってきたが、ネット販売や人口減少の影響で売れなくなった。「時代が時代。これからの島の子どもたちに紙の本の良さを伝えていけないことが残念だ」。喜界島から本屋が姿を消す。
喜界町赤連の目抜き通り、循環線道路沿いに書店が誕生したのは1955(昭和30)年。現在の店長・太利重芳さん(65)の父・重一さんは祖父が残した島の土地を守るために東京から移住し、書店を開業した。98年には太利店長が跡を継いだが、経営不振からいったんは廃業。その後は、懇意にしていた奄美市で印刷業を営む前平彰信代表(74)が私財を投げ打ち、13年4月からは銀座コーポレーション・ブックス銀座として再開していた。
店舗には文庫や雑誌、マンガなどが並び、児童文学や図鑑のほか、島にまつわる本も積極的に取りそろえた。店の一画では利益率の高い文具などを扱い、再出発後は印刷物の仲介業も始めるなど、てこ入れを続けてきた。
ただ、島の急激な人口減少に加え、活字離れやネット販売の広がりも影響し、売り上げの減少に歯止めが掛からなかった。離島では、輸送費負担のハンディもある。薄利多売が前提の書籍で、仕入れや返品、再販売価格維持制度といった書籍業界を取り巻く環境も足かせになっていた。
閉店を決めてからは、常連やなじみ客から「やめないで」「島の人が困る」といった惜しむ声も相次いだ。太利店長は「長年書店に携わり大変なこともあったが、本屋と大切に接してくれる人も多くうれしかった。支えてくれた地元の人には感謝しかない」と話す。
前平代表は「島に一つしかない本屋がなくなるのは忍びないが、経営状態は限界だ」と述べ、間には合わなかったが「(行政による)島での支援も始まっていた。やり方次第では継続もできるはず。いずれは喜界島の人が力を合わせて、島の本屋に再び明かりがともることを願いたい」と望みを託した。
8月以降は太利店長が運営を手掛け、同店舗の文具販売や印刷物の仲介などは継続していくという。

