昆虫トラップ多数確認

徳之島町徳和瀬「神嶺ダム」周辺の10か所で確認された昆虫トラップ(バナナ・トラップ)=8日夕、徳之島虹の会提供

ボランティアで巡視中、昆虫採取者と見られる来島者との遭遇も=8日午後9時すぎ、徳之島町徳和瀬

徳之島「神嶺ダム」周辺で
乱獲懸念で保護団体が警戒強化

 【徳之島】世界自然遺産に登録されている奄美大島・徳之島で自然保護の機運が高まる中、徳之島町徳和瀬の神嶺(しんれい)ダム周辺でクワガタムシ類の乱獲が懸念される「バナナ・トラップ」と見られる昆虫トラップの設置が確認された。地元の自然保護団体などはボランティアで巡視を強化し、監視体制を敷いている。

 住民の通報によると、7日夜、日頃は進入禁止となっている神嶺ダム敷地内をはじめ同周辺で、白布に照明を当てて夜行性昆虫を誘引する「ライト・トラップ」と見られるトラップ(わな)を設置中の男性2人組を目撃。通報を受けたNPO法人徳之島虹の会や県・地区の自然保護推進員らが急行。午後10時以降に2回の巡視を行った時点で、2人は既に現場を離れていた。

 翌8日早朝の再巡視では、同公有地および隣接の民有地内の樹林に、ストッキング詰めて吊るしたバナナなどの匂いで主にクワガタムシを引き寄せる「バナナ・トラップ(フルーツ・トラップとも)」が10か所に設置されているのを確認した。

 目撃された2人組はいずれも島外から来た30歳前後とみられ、白の軽ワゴンタイプのレンタカーを使用。車内には大型の箱3個と虫取り網などを所持していたという。自然保護関係者らは2022年6月、伊仙町内で同様のトラップが大量に確認された事案と「同一人物の可能性が」とも指摘。同事案を巡っては、町区長会が町内全域でのトラップ設置を禁止する決議(23年)につながった。

 一方、奄美大島・徳之島の自然保護協議会や県および環境省などは先月12日、共同声明を発表し、「島の生きものを島外に持ち出さない」よう強く訴えた。声明の背景には、5月に中国籍の男3人が国の天然記念物オカヤドカリを5千匹余、無許可で所持し、文化財保護法違反で逮捕された事件がある。

 虹の会の美延睦美事務局長(62)らは「今回も以前(3年前)と同様に、内情に詳しい人物の可能性が高いと思う。同ダム周辺は世界自然遺産や国立公園区域ではないが、おそらく条例で保護されているシカクワガタが含まれる可能性も。大量乱獲は生物多様性の一員たちの脅威となる」と警鐘を鳴らす。

 関係団体は8日午後9時以降もボランティアで巡視。途中、同一の2人組かは不明だが、町道沿いの昆虫ラップを回収中と見られる2人組と遭遇。共同声明の主旨などを説明する場面も。今後も昼夜を問わず巡視を続け、不適切な採集行為の抑止に努める方針だ。