水深10㍍以深のサンゴ礁は健全な状態を保っていた(日本大学・藤井琢磨専任講師撮影)

水深が浅い礁池内では2024年夏の白化の影響が残る(興克樹奄美海洋生物研究会会長撮影)
公益財団法人世界自然保護基金(WWF)ジャパン=東京都=は13日、4月から進めてきた大和村国直での「サンゴ礁保全プロジェクト」を本格始動、第1回調査を実施した。2024年夏に奄美群島全域で発生した大規模な白化現象の影響を調べた結果、水深10㍍以下の深場では影響が見られなかった。今後、30年6月まで調査を継続し、サンゴの耐性や新規加入(増加)の状況を調査、保全につなげていく。(写真はいずれも13日、大和村国直の海。WWFジャパン提供)
プロジェクトは、気候変動と海水温上昇、海洋酸性化が進行し、世界的に造礁サンゴが深刻な危機に瀕していることを背景に実施。WWFジャパンは、サンゴ種の多様性や健全性、白化からの回復状況などの観点から国直をプロジェクトサイト(調査地点・情報集約の場所)に選定した。
13日に行われた第1回調査には、地元からNPO法人TAMASU(中村修代表)、奄美海洋生物研究会(興克樹会長)が協力。日本造礁サンゴ分類研究会に所属するサンゴ分類の専門家らとともに分布調査した。
その結果、水深が浅い場所では、24年夏の海水温上昇による白化の影響が色濃く、死んでしまった群体が多く見られたが、一部には生存・回復の兆しも確認したという。一方、水深10㍍以深では、さまざまな種のサンゴが影響を受けない状態で残っていることが確認された。
興会長は「国直のサンゴ礁は1998年の大規模白化で大きな攪乱(かくらん)(変化)を受けたが、早期に回復した。プロジェクトにより、自然環境の現在や未来を考えたい」、 中村代表は「国直海岸は漁場でもあり憩いの場でもある。集落に根付く文化や精神も含め未来へ引き継いでいきたい」とコメント。
WWFジャパンの佐々木小枝海洋水産グループコンサベーション・オフィサーは「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、世界の造礁性サンゴの70~90%が死滅すると予測している。国直でも、集落と海とのかかわりが大きく変化していると聞く。プロジェクトを通し、海とうまく関わる方法を見つけていくことがサンゴ礁生態系の保全にも、集落の暮らしにもつながると考えている」と述べた。
同プロジェクトは今後、国直集落周辺の海域を活動地とし、希少なサンゴ種の調査・記録、白化に対する耐性や回復・新規加入を継続的に調べるとともに、集落の生活や文化と海との関わりについても併せて調査する。

