「とも原」での昼食は部員たちの楽しみ

エース長尾を診る尾堂さん。長年の経験の蓄積を徳之島ナインにも還元している
【鹿児島】第157回九州地区高校野球鹿児島県予選で奄美勢の徳之島が、5季ぶりに8強に勝ち残っている。9月22日に島を出発し、3日で鹿児島滞在11日目を迎えた。今回は長期滞在中の食事や身体のメンテナンスなど、野球部を支える人たちにスポットを当ててみた。
午前中の練習を終えると部員たちが楽しみにしている場所がある。鹿児島市騎射場にある「とも原」という飲食店だ。滞在中の昼食は基本毎日「とも原」で全員そろって食べる。
店主の中迫大希さんは鹿児島玉龍出身の元高校球児。母親の由美子さんが龍郷町出身で奄美のチームに親近感があり、地頭所眞人監督と顔見知りになった2年前の秋から、滞在中の昼食の面倒をみるようになった。
高校時代は「長期遠征で来るチームは修学旅行のような楽しみでくると勘違いしていました」と言う。地頭所監督や島の指導者から実情を聞いて驚いた。滞在が続くと選手たちの食が細くなり、大会が終わると「1、2㌔体重が落ちる選手がざらにいる」。勝ち上がって準々決勝あたりで強豪私学のチームと対戦すると、島で蓄えた体力がそぎ落とされ「肝心なところで力が出せない」(地頭所監督)ことがこれまであった。
元球児の中迫さんが男気を感じ、格安の料金で昼食を提供するようになった。最初の頃は「勝ち上がっても、元気がなく、食も細かった」が今のチームは「全員よく食べて元気がある」と感じている。
部員18人、マネジャー1人、指導者2人、1回の食事で米40合を炊く。当初は揚げ物、汁物、ご飯の3品だったがこの秋からはフルーツをふんだんに使ったフルーツポンチなども提供するようになった。「疲れの状態が肌に出る」というトレーナーの尾堂学さんの指導で、ビタミンCを多く含んだ果物を食事にとり入れるようになった。
「練習終わり頃になると『とも原』が楽しみになる」と嶋田雄心主将。「食事のことを考えると、あと一歩踏ん張れる」。「チキン南蛮が一番おいしかった」と言う白山陽大(1年)は「たくさん食べてスタミナがつきました」。3日のメニューはキムチ鍋。「練習後に食べるにはキツイはずなのに、おいしくてたくさん食べられます」と1年生の白坂優貴(1年)は言う。
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食後に選手たちが向かう場所は同じ騎射場にある尾堂鍼灸整骨院。ここでトレーナーの尾堂さんに身体のメンテナンスをしてもらう。
大島時代の塗木哲哉監督との縁で、徳之島の選手もみるようになり「大会期間中は1日多い時で40人ぐらいの選手がメンテナンスにくる」ほどだ。長年、数多くの高校球児を診てきたことで「どんなふうにメンテナンスして、調整していけばいいか」のノウハウができたという。
例えばエース長尾涼はかつての大島のエース大野稼頭央と同じ特徴があり「振り上げた足の動かし方が調子の良し悪しのバロメーター」になっている。以前は上体だけで投げる癖があったが、しっかりと下半身を使えて投げられるようになった。
遊撃手の竹下遼(2年)は「知らないうちにスパイクで自分の足を蹴ってしまってけがすることもあった」が尾堂さんの施術で、下半身の動きが改善され、癖を矯正できた。10日以上の長期遠征でも「疲れもとれて、動きも良い」と感じている。
栄養面と身体のメンテナンス、野球以外の面でも強力な「援軍」を得て、徳之島は5日の準々決勝・尚志館戦を一戦必勝の意気込みで臨む。
(政純一郎)

