「鳥獣被害の防止は住民で」と話す稲葉さん(15日、奄美市役所)
住民に対して鳥獣被害防止対策の適正な指導をする人材を育成する「鳥獣被害防止対策にかかる指導者育成研修」(県農政部主催)が15日、奄美市役所であった。5市町村の農林水産関係の担当者など10人が参加。ICT(情報通信技術)を活用したセンサー付きわなによる遠隔監視システムや、農地を守る地域の「担い手育成プログラム」などについて学んだ。防護柵などの展示もあった。
同研修は、国の施策に基づき、鳥獣対策の正しい知識・技術の習得を目的に、農家の支援策の一環として実施している。
講師は、「地域と畑は自分たちで守る」のキャッチフレーズを掲げ、農家ハンターが集まって2019年に起業した㈱イノP(イノシシプロジェクト)=熊本県=の楠田弘樹さん(36)と稲葉達也さん(47)。
同社は、主な駆除対象となるイノシシの特性に合わせ、箱わなを使った捕獲方法を採用。年間最大1000頭を捕獲している。
19年には、解体などを行うジビエファームを建設、捕獲したイノシシの8~16%を解体し、ハムやソーセージなどに加工・販売する事業にも取り組んでいる。
楠田さんは、現在国内で行われている鳥獣対策について、「単なる捕獲・柵設置にとどまっている」と指摘し、▽個体数管理▽侵入防止対策▽生息環境管理―の3本柱が不可欠と訴えた。
「〝山の10頭より里の1頭〟が重要なアプローチ」と唱え、地域住民が一体となり鳥獣の習性などに関心を持ち勉強することが第一と話した。
電気柵などが適切に設置されていない現状も解説。適切な指導を継続することで、効果のない設置が57%から15%に減少すると事例を示した。
稲葉さんはイノシシの生息数を減らし被害を減少させるには、「毎年、7割以上の駆除が必要」と発言した上で、「駆除や防護は役場、ハンター任せの現状では、離農者が増え集落の崩壊につながる」と警鐘を鳴らした。
高齢化や過疎化が進む農村では、通信機能が付いたカメラや(わなにかかるとスマートフォンに自動通知する)害獣捕獲監視システムの導入などで省力化を図ることを推奨した。
稲葉さんは「今や、地域や畑は自分たちで守るしかない。まずは地域で勉強会を実施してほしい」と話した。

