旧久慈小中の校舎などを利活用し農泊推進型施設「あらとんとんの館」が整備された(提供写真)

施設の完成を祝って行われたテープカット

教室跡が広々とした宿泊部屋に生まれ変わった
瀬戸内町の篠川から西古見にかけての西方(にしかた)地区は、豊かな自然や穏やかな湾の風景、戦争遺跡など観光資源が豊富にあるものの、商店や滞在できる施設がなく、訪れる観光客も通過するだけとなっている。そこで町は2021年4月に廃校となるまで150年近い歴史を刻んだ旧久慈(くじ)小中学校の校舎などを利活用、農泊推進施設を整備した。同地区の滞在型観光の拠点として誕生した「あらとんとんの館」の竣工(しゅんこう)披露会が10月31日に現地であり、テープカットなどで完成を祝った。
「あらとんとん」は久慈集落独自の方言でクラゲの意味。久慈集落住民を中心に21年度に発足した一般社団法人「チーム西方による持続可能なまちづくり協議会」(昌谷(しょうや)榮四郎代表)が施設の運営にあたる指定管理者。町総務企画課によると、23年度に国の農山漁村振興交付金(農山漁村発イノベーション整備事業)を活用し、農泊推進型施設の実施設計を作成。24年度に同交付金による新築工事として食事処・雑貨施設を124平方㍍、旧校舎を活用して改修工事により宿泊施設258平方㍍を整備した。事業費は1億4850万2千円。今年度には県の地域振興推進事業を活用して備品等の導入、各種体験メニューの開発に取り組んでいる。
整備された施設の概要は、▽食事処(名称「とうぐら」)=店内に35席を設けており、委託型地域おこし協力隊の料理人提供のメニューは現在3種類だが、今後地場産メニューを追加予定▽雑貨店(同「西方商店」)=西方エリアの食材や日用品の供給機能▽宿泊施設(同「あらとんとんの宿」)=教室跡を活用し広々とした部屋に2人用のベッドを配置。計4部屋―となっている。
竣工披露会には西方地区の各集落区長や地元久慈集落住民、町議会議員、県や町の行政機関代表、施工業者代表などが出席。来賓を代表して大島支庁の松藤啓介支庁長が祝辞、「地域の皆さんの集いの場、瀬戸内町西部(西方地区)における滞在型観光の拠点の一つとして交流・関係人口を創出、増加させる場となり地域の活性化が図られることを大きいに期待している。さまざまな機会を通じて『あらとんとんの館』をPRしていく」と述べた。
行政機関代表、町議会代表、チーム西方代表、久慈集落区長によるテープカットや施工業者への感謝状贈呈で施設の完成を祝した。地元を代表して鎌田愛人町長は謝辞の中で施設が果たす役割を説明。この中では目的として①農村に泊まる体験をコンセプトに島の文化や生活体験を生かした宿泊環境の提供②島の資源を活用して食事処としての機能と集落に残る郷土料理や伝統的な食文化の保全と継承③買い物弱者支援対策につながる雑貨店機能として生活に必要な日用品のほか、地域内の特産品をPR販売するための拠点④農業や水産業など1次産業に関連する体験メニューの提供や伝統文化体験など地域の人々との触れ合い創出―を挙げ、「町営キャンプ場の『西古見GATE(ゲート)』との連携連動により通過型の観光から滞在型観光への転換を図り西方地区の地域活性化を推進していく」と強調した。
利活用された久慈小中は1874(明治7)年開校で、21年4月1日に廃校となるまで147年の歴史を刻んだ。久慈集落は西方地区の中心で、子どもたちが通った学校が同地区振興のシンボルとしてよみがえることになる。

