食文化・郷土料理、産業・経済などの課題を踏まえて具体的な方策を協議した奄美市の「食と農の総合戦略」策定会議(第2回目)
「しあわせの島」実現へ「食と農の総合戦略」の策定を進めている奄美市は27日夜、市役所名瀬総合支所会議室で第2回策定会議を開いた。9月下旬にあった第1回会議、10月の市民参加型ワークショップ(アイデア会議)を踏まえて、「何をすればよいか(ロードマップ)」具体案を出席した委員らが協議。食文化・郷土料理に関しては普及に向けて手軽にレシピが視聴できるアプリ作成、産業・経済では固有食材の安定供給へ冷凍化できる保存設備の必要性が提案された。
市の委託を受けた一般社団法人奄美みらいエネルギー(渡太郎代表)が運営事務局。食文化・有識者、食関連事業者、農水産業者、文化・教育関係者、観光業者、県や市の関係部署職員が委員を務めており、この日は18人の委員のうち15人が出席した。
第1回会議及びアイデア会議を踏まえて事務局が総合戦略の方向性(案)をまとめた。この中では▽価値・誇り・奄美らしさ=自然と暮らしが、奄美らしい食と農のある日常をつくる▽課題=日常の食と農の循環が弱まり、持続性が失われている▽なりたい未来=自然と暮らしを育む、誇りある日常▽具体策案の抽出=日常を循環させる島の食のネットワーク―を挙げ、出席した委員は四つのグループに分かれて協議。この日はコーディネーターを務める鹿児島大学法文学部法経社会学科経済コース・市川英孝教授が担当するゼミの学生も加わった。
協議をまとめる形でグループごとに発表があり、具体的な方策について食文化・郷土料理の普及活用では「レシピ集などを作成してもなかなか普及しない。郷土料理研究家の監修に基づき島の料理レシピのアプリ(スマートフォンに入れるソフトウェア)を奄美市が作成し、これをベースにしては。いつでもどこでも視聴できる手軽さから普及するのではないか」。持続可能な島内産業構造では、伝統野菜や鮮魚など農業や漁業で提供される島固有産物の食を観光客は求めるものの、宿泊施設や飲食店への食材の安定供給が課題となっている。これについては「島の食材を冷凍品として保存していく発想も必要ではないか。基本は鮮度(新鮮な地場産の良さ)としながらも、安定供給に向けて保存していく取り組み」が提案された。「(地元の人々は)無料でもらえるとして島の食材の価値に気付いていない傾向にある。業務用として島の食材を大事に冷凍してほしい」との意見もあった。
食と農に関しては市ホームページ等でQRコードなどによる市民アンケートを実施。その結果の報告も事務局からあり、「1144件と多くの回答があった」とした上で、「地元の食材を使いたいという意識は全体の4分の3を占め、高い。高校生など若い人を含めて郷土料理への愛着もある」と指摘し、担い手や後継者不足といった課題を抱える中で奄美の食の魅力(独自性・文化性)を発信していく必要性を伝えた。
市川教授の講話もあった。アンケートの状況からも「奄美の食材、伝統的な食文化にネガティブではない」「買う、食べる機会があれば」「農業に従事する若い人はいる」「果樹など積極的に栽培する」「観光客が求めるもの、島外の方が求めるものは精神的な豊かさでは」などから、単純な思い込みや刷り込みなど「情報のミスマッチが起きている」として、「これからはモノ・コトを消費するから“循環させる”へ転換を」と求めた。
第3回目の策定会議は来年2月を予定している。

