伊仙町で黒糖「サタタキ」始まる

甘い香りを漂わせながら伝統の「サタタキ」方式で始まった純黒糖製造(徳南製糖工場)=3日午前、伊仙町犬田布

伝統産業の芳香漂う
師走への移ろい告げ

 【徳之島】伊仙町犬田布の徳南製糖工場(南郷秀一代表)で3日、生産農家が手作業で収穫したサトウキビを用いた伝統の黒糖製造が始まった。煮沸釜から立ち上る甘い芳香と湯気が漂い、住民や通行するドライバーたちに製糖シーズンの到来と師走の季節感を伝え始めた。

 同工場は1968(昭和43)年に現在地で操業。機械化が進む中、キビ生産農家たちが手作業で丁寧に収穫した原料キビを直接買い入れて圧搾(あっさく)。搾汁(キビジュース)を伝統の「サタタキ(黒糖炊き)」方式で煮沸・濃縮し、熟練の技で凝固させる「純黒糖」製法を守り続けている小型製糖工場の一つ。

 南郷代表(74)によると、今年の原料キビは「作柄も品質(甘しゃ糖度)も平年以上で、とても良い黒糖ができそう」と明るい。同社純黒糖の納入先の7割は、黒飴やかりんとう、羊かんなどでおなじみ㈱那智黒総本舗(和歌山県)。信頼の品質に培われた製菓用〝原料黒糖〟としての取引は58年続く。近年は黒糖焼酎原料用(奄美市)の引き合いも発生。

 ほか、「徳之島さとうきび100%・純黒糖・開封後要冷蔵」などと記したシンプルなパッケージで直販もするが、「健康志向の黒糖人気で即完売状態にあり、供給が追いつけない」と南郷さん。

 奄美群島の全キビ生産量の半数以上を担う徳之島。黒糖(今蜜糖)の小型工場に続き、10日からは大型分蜜糖製造の南西糖業㈱2工場も今期操業を始める。