網野子トンネルで行われた防災訓練(4日、瀬戸内町)
奄美市住用町役勝と瀬戸内町網野子を結ぶ国道58号線「網野子トンネル」(延長4243㍍)で4日、車両の正面衝突事故と、その後の車両火災を想定した防災訓練があった。県大島支庁瀬戸内事務所、瀬戸内町、警察、消防など11機関約50人が参加。関係機関の相互連絡による救助、搬送などの流れを確認、連携強化を図った。同事務所主催の防災訓練では初めて、ドクターヘリによる搬送訓練も行われた。
事故は、トンネル内を対向して走行中の車両2台が、住用側坑口から約1・3㌔の地点で正面衝突したとの想定。乗車していた3人は自力で脱出したものの、消防は、うち1人に緊急性があると判断、ドクターヘリの出動を要請した。
現場に駆けつけた警察官は、取り残された人がいないか車内を確認、周囲の安全を確保し交通規制。救急隊員らは負傷者の症状を確認、治療の優先順位を決定するトリアージを行った。
1人が重傷と判断されたため、救急車でヘリとのランデブーポイントとなる同町阿木名へ急行。ポイントでは、負傷者をストレッチャーに乗せヘリへ搬入する手順を確認した。この間、事故現場では車両火災が発生、消防による消火が行われた。
訓練後、同事務所の上拾石斉宏(かみじゅっこくなりひろ)所長は「トンネル防災では、防災設備の適切な操作と合わせ、関係機関との連携が大切。訓練の成果を今後に生かしていきたい」と総括した。
網野子トンネルは、奄美大島で最も長いトンネルとして2015年に開通。瀬戸内署によると、人身事故はこれまで3件発生、火災に至った例はないという。
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今回の訓練では、消防(救急隊)とドクターヘリとの間で行われる連絡手段に課題もあった。通信大手キャリアの回線を使ったトンネル内からの連絡が不通となり、消防無線を使って連絡を取った。
現場に立ち会った県立大島病院救命救急センター長の中村健太郎医師(41)は「奄美大島の山間部ではこうした問題が常に起こり得る。複数の通信機器を組み合わせる必要がある」と話した。

