写真集『Sanctuary』より(上から反時計まわりに)朝日を浴びるヒカゲヘゴ、ルリカケスの営巣、アマミノクロウサギの子育て(提供写真)
写真集を手に浜田さん
アマミノクロウサギをはじめ、島の貴重な生き物や風景を撮影してきた奄美市名瀬在住の写真家・浜田太さん(72)は21日、5冊目の写真集『Sanctuary(サンクチュアリ)世界自然遺産の島』(小学館)を出版した。世界自然遺産の島の四季が織り成す動植物の営みや移ろう情景を切り取った138点が収録。奄美大島、徳之島の〝神秘の森〟と対峙した45年の集大成という。
浜田さんは、1953年龍郷町円生まれ。現・東京工芸大学卒業後、大手出版社写真部を経てフリーカメラマンに。1979年に奄美大島に帰郷し、国指定天然記念物のアマミノクロウサギの生態を中心に撮影を始めた。1996年には世界で初めて同子育ての様子の撮影に成功した。2017年には米国スミソニアン国立自然史博物館主催のネイチャーズベストフォトグラフィー映像部門で優秀賞を受賞している。
写真集は、世界自然遺産登録5周年の節目に合わせて制作した。春夏秋冬に梅雨を加えた5章で構成し、浜田さんが1992年以降に撮りためたえりすぐりを収めた。
現場では手作りの小屋にこもり、泊まり込むのが浜田さんの撮影スタイル。アマミノクロウサギの子育ての撮影には1か月以上かかった。森の宝石と呼ばれるハグルマヤママユに出会うために約2か月間、山にも通い詰めた。時には崖からも落ちたという。深い森と向き合い続けた浜田さんは「奄美の自然の仕組みをしっかりと表現したかった。自然と同化し、五感を研ぎ澄まさなければ本当の姿は見えてこない」と話す。
タイトルは「聖域」と名付けた。「未来永劫(えいごう)、侵してはならない場所。いろんな角度で耳を澄ますことで、自然の懐の奥深さは見えてくる」と浜田さん。「ここまで理解するのに45年かかったということ。(撮影では)ダイナミックかつ繊細に切り取った。四季折々の生き物たちの息吹を感じ取ってほしい」と薦める。
写真集はB12取判120㌻。価格は4730円(税込)。全国の書店やネットで購入できる。

