任期満了(4年間)の折り返しにも達していないのに2024年10月以来、約1年3か月ぶりの衆院選がスタートした。この間、昨年夏には参院選が行われており、今回で三度目と立て続けの国政選挙だ。しかも解散から投開票まで戦後最短の16日間、通常国会冒頭解散は1966年以来60年ぶり、寒波が押し寄せる冬場・2月の投開票は90年以来と異例ずくめ。
物価高騰による暮らしの悪化に有効策が見いだせないからかもしれない。今回の衆院選で争点に浮上しているのが消費税だ。これまで慎重だった政権与党の自民党も期間限定だが減税にかじを切る。「飲食料品を2年限定で消費税の対象外とすることについて、『国民会議』で検討を加速する」。対する野党は「恒久的にゼロ」「廃止」「一律5%」など踏み込んでおり、財源について「政府系ファンド創設などで確保」(中道改革連合)と示すところも出ている。
各党が家計に配慮する姿勢を見せているのは喜ばしい。「今回の選挙で漁夫の利を得るのは国民ではないか。高市政権継続、あるいは政権交代となっても消費税の減税が実現する」と歓迎の声がある。一方で減税が需要を喚起して物価高を助長、あるいは財政と通貨の信認に疑念を伴うことで円安・金利上昇が進み、かえって家計の重荷になるとの見方もあり、減税のその先まで描く政策か吟味していきたい。
こうした政党、候補者が打ち出す政策で選択の判断材料に実態との整合性がある。実態と齟齬(そご)があれば、多額の予算を投入したとしても暮らしは改善しない。
では、どのような姿勢が求められるのだろう。鹿児島市谷山地区、指宿市、南九州市、枕崎市、南さつま市、奄美市、大島郡が小選挙区の区割りとなっている2区でこんな発言をした首長がいる。「まちの価値は一人一人の見方で変わる。それぞれ要望や意見が違う中、本当に人々が望んでいることが何かをはき違えないようにしたい。そのためには、声を聞くこと」
奄美群島の政策で考えてみよう。補助金や交付金により国の多額の予算が後ろ盾となることから地域づくりの原動力と言える奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)は現在の改正法では、新たに「沖縄との連携」が打ち出された。連携強化のための施策として沖縄向け農林水産物の輸送費支援などに加え、昨年末に閣議決定した新年度当初予算案では奄美群島―沖縄間の航空路運賃支援が拡充された。
運賃支援は両地域の交流促進につながるが、民間の経済団体・奄美大島法人会(有村忠洋会長)は航空路線の改善の必要性に目を向ける。現在の奄美大島―沖縄間のプロペラ機乗り継ぎ便ではなく、かつてのようにジェット機を就航させての直行便の復活だ。「ジェット便運航なら、多くの観光客が訪れ、しかも発展が目まぐるしい東南アジアなどアジアの国々の入り口となっている沖縄=県本土・九州間の乗り継ぎ(奄美空港を経由しての)需要も期待できる。奄美空港が沖縄―九州間の拠点・ハブ空港となれば、新たな路線開設や航空会社の乗り入れも実現する。連携や交流を活発化するには運賃割引による奄美からの利用だけでなく、沖縄から観光客の利用にもつながる魅力ある路線に」(有村会長)。
需要次第ではなく「需要を創出する」路線へ発想を転換できるか。運航する航空会社の理解に左右されるが、さまざまな航空会社への働き掛けも選択肢の一つだ。そのための推進力で国政が果たす役割は大きい。
2区の候補者は繰り返し奄美群島に足を運び現場主義を徹底する前職、来島のたびに街頭演説を重ね政策の浸透を図っている新人、都市部での政治活動を実績とする出身者の新人といずれも奄美に高い関心を示す。声を聞く、官民のさまざまな声を拾う、そして政策に取り入れる――結び付く候補者に託せるだろうか。
(徳島一蔵)
