沖永良部島古墓群シンポ

古墓の保存活用について意見を交わしたサイエンスカフェの参加者ら(11日、知名町)


基調講演した沖縄国際大学の上原靜名誉教授(11日、知名町)

「沖縄踏襲、九州取り込み、固有の形展開」
国指定史跡へ保存と活用考える
有識者や島民が意見交換

 【沖永良部】「~琉球と薩摩が紡いだ島の宝~沖永良部島古墓群シンポジウム」(知名、和泊両町教育委員会主催)が11日、知名町のおきえらぶ文化ホール・あしびの郷・ちなであった。考古学や民俗学の専門家らが、古墓の価値と今後の活用方法について意見を述べた。

 沖永良部島古墓群は、和泊町の「世之主の墓」、知名町の「アーニマガヤトゥール墓」「屋者ガジマル墓」「新城花窪ニャートゥ墓」の計4基。いずれも琉球文化の影響を受けた前庭を持つ大型石造り掘り込み墓で、奄美と沖縄さらに九州南部との交流を示す貴重な遺跡として、国の文化審議会が昨年12月、新たな史跡に指定するよう文部科学相に答申した。

 基調講演で沖縄国際大学名誉教授の上原靜氏は、文化財としての墓の価値について「墓造りは人間特有の文化的行為で、単なる死者の安置場所ではない。個人や家族、地域社会の記憶や文化を伝える場となっている」と説明。さらに奄美や沖縄諸島の古墓を紹介した上で、沖永良部島古墓群の特徴について「島の自然地形や地質を最大限に生かし、沖縄諸島の建物式墓を踏襲しながら、九州の墓文化を取り込み、沖永良部島固有の形に展開している」と語った。

 続いて、鹿児島大学教授の渡辺芳郎氏は、古墓群から出土した陶磁器の産地や流通について説明。瀬戸内町立図書館・郷土館長の町健次郎氏は、奄美群島の葬法が風葬から土葬へ移行した時期を過去の文献から読み解いていった。

 サイエンスカフェでは、事前アンケートの結果を参考に、上原氏のほか、県や町の文化財担当、観光事業者、教育関係者、高校生など計8人が、古墓の保存活用について意見を交わした。

 沖永良部高校3年の三島結佳さんは「お墓は、ぬんぎどころ(怖い場所)というイメージが強い」と述べ、同3年の福山玄太さんは「どんな人が葬られているのかが分かり、オープンな印象を持てるよう墓を整備すれば、怖さがなくなるのではないか」と提案。観光での活用で、今回国指定された4基以外に魅力的な古墓を問われた上原氏は、和泊町のチュラドゥールと3号墓、知名町の屋子母セージマ墓を挙げ「造形が素晴らしい。いずれ(国史跡へ)追加指定になるはず」と話した。

 会場ホワイエではポスター発表もあり、鹿児島女子短期大学教授の竹中正巳氏は古墓から見つかった人骨の分析結果を報告し、両教育委員会の学芸員は古墓群の調査成果を発表した。