果樹園でのタンカン収穫を体験するモニターツアーの学生ら(18日、龍郷町大勝)
農福連携を進めている「あまみん」でのハーブを使ったリース作り
県は、都市と農村の交流・関係人口拡大へ魅力ある地域資源を活用した農村体験プログラムを企画・開発する取り組みをしており、今年度は15日から奄美大島5市町村でモニターツアーを開催している。春休み期間中のため長期滞在が可能な大学生らが参加しており、タンカン収穫など産業の就労体験だけでなく地元の人々との交流の機会も設けているのが特徴だ。
農村振興課によると、今年度の農村体験プログラム受託事業者は㈱ANA総合研究所(矢澤潤子社長)=ANAグループシンクタンクで航空マーケティング調査研究や地域活性化支援など実施=。県のむらとつながる農村体験事業は2021年度から進められているが、これまで日帰りや1泊2日の日程だった。
奄美大島でのモニターツアーはANA総研が提案。成田・関西空港からの直行便を運航しているLCC(格安航空会社)のピーチ・アビエーション=ANA子会社=も活用できオフシーズンの2月にすることで、観光の誘客につながる。主席研究員の丸山一雄さん(61)は「長く滞在できる学生をターゲットに若い皆さんに参加してもらい、都市と農村の交流人口拡大を図ることで将来的な移住、定住のきっかけとしたい」と語る。
参加者は15日から22日まで8日間滞在が5人(関東や東海地域の大学1~2年生)、18日から22日まで5日間滞在が4人(大学3年生3人と社会人1人)。東京発(成田)、大阪発(関空)で来島した。観光施設の見学も取り入れている体験プログラムは奄美大島全市町村で計画しており、これまでに黒糖づくりやサトウキビ収穫、ヨモギもちづくり、養殖クロマグロへの給餌、タンカンやコーヒー豆収穫を体験。終盤となる21日の宇検村では郷土料理である油ソーメンづくりや集落散策を予定しているが、丸山さんは「奄美大島を訪れるのは初めての参加者ばかり。体験活動を通して地元の皆さんとの交流・触れ合いに力を入れており、『奄美で知り合った方々にまた会いに行きたい』という関係構築によって、学生が第二の古里と奄美を感じてもらえるようにしたい」と語った。学生らは自然や食、伝統文化を大事にする姿勢や優しい人柄に感動しているという。
18日の午前中は龍郷町大勝であり、㈱リーフエッヂ(田中基次代表)が運営する「あまみん」がモニターツアーを受け入れた。農業と福祉の連携である「農福連携」の実践では作業の受託だけでなく加工食品の開発や販売、情報発信にも力を入れている。アロマセラピスト、薬剤師などの資格を取得するスタッフが奄美に自生するハーブを説明後、レモングラスを土台にしてのリース作りを室内で体験。天候が回復したことから果樹園に移動し、田中さんの指導や説明を聞きながら、現在が旬のかんきつ・タンカンの果実を一つ一つ刈り取る収穫を行った。同日はANA総研の矢澤社長も来島した。
参加した学生の一人で名古屋在住の夏目帆菜(なつめ・はんな)さん(20)は「奄美大島は広いというのが第一印象。ANA総研のこうした取り組みでは、稚内(北海道)で酪農などの就労を体験している。北海道に続き奄美での体験により、その地に合わせた農業や気候調整の工夫などを学べた。奄美の皆さんから積極的に話し掛けてもらい、人の温かさを感じた。今後も奄美を訪れたい」と語った。

