爆弾痕や機銃陣地確認

爆弾痕や機銃陣地確認

昨年12月、新たに3地区で行われたドローン計測による戦争遺跡調査の成果発表会
計測データに基づき作成された三次元のCS立体図。地表面が明らかになることで爆弾痕などが確認された

須手、実久、江仁屋離3地区 新たにドローン計測
戦争痕跡が残る
瀬戸内町成果報告

瀬戸内町は23日、昨年12月に実施したドローン計測による戦争遺跡調査の成果発表会を町民向けに行った。新たに調査したのは須手(すで)、加計呂麻島の実久(さねく)、江仁屋離島(えにやばなれじま)の3地区。デジタル技術を活用し、計測後に作成された三次元のCS立体図(標高・傾斜・曲率三つの地形量を透過処理)により森林などを除去した地表面の状態が明らかになり、戦後80年が経過しても爆弾痕や機銃陣地跡などの戦争痕跡が残っていることが報告された。

町総務企画課によると、県補助事業活用してのドローン調査は町と日本航空(JAL)で共同設立した奄美アイランドドローン㈱(今年度末で業務終了)が全体を総括し、ヤマハ発動機㈱と町で調査内容をまとめた。町内にある戦争遺跡のドローン計測は2025年3月に続いて2回目。午前はきゅら島交流館、午後は実久集会場であり、ヤマハの瀬口栄作さん、町教育委員会埋蔵文化財担当の鼎(かなえ)丈太郎さんが発表した。

使用されたドローン(産業用無人ヘリコプター)は、ヤマハが森林資源量調査のため商用化したもの。ドローンに搭載した装置からレーザー(人体、動植物には無害)を照射し計測する仕組み。計測面積は須手地区(奄美群島で唯一、水上飛行機用の基地が設置された箇所。古仁屋同様市街地のため開発工事が多く、遺跡の現状確認・把握が必要)61・9㌶、実久地区37・8㌶、江仁屋離島地区35・9㌶。実久と江仁屋離島は海を隔てているが隣接しており、両地区は国史跡・奄美大島要塞(ようさい)跡に関連する砲台の一つで、残存度が「極めて良好な遺跡」。だが、調査地が遠距離のため、人力での調査が困難で未調査地区が多い。

計測データを基に作成されたCS立体図で3地区の構造物を確認。爆弾痕、機銃陣地とみられる地形で、爆弾痕は▽幅=8・4㍍~12・3㍍▽深さ=0・4㍍~1・9㍍▽形=中華鍋形(広く浅い)、機銃陣地は▽幅=4・3㍍~5・2㍍▽深さ=0・8㍍~1・5㍍▽形=寸胴鍋計(垂直に深い)。鼎さんは「現地に行かなくても、おおよそ推測が可能」とした。須手、実久地区では兵隊1人用の隠れ穴である掩体(えんたい)も確認された。

大島海峡周辺に集中して残る戦争遺跡は現在把握されているだけでも206か所(うち52が遺跡認定)に及ぶが、これだけの数が現存することについて鼎さんは「簡単には行けない場所に造られた防御施設。戦況や地形に合わせて多く造られ、戦後に壊されることが少なかった」と述べた。

調査成果発表のまとめでは、①ドローン計測による地形図作成は、安全に正確な情報を得るために有効な手段②調査の課題である、人員確保や調査期間の問題、安全性を確保することができる③三次元データは、埋蔵文化財調査だけでなく、遺跡の活用や教育、観光などに生かすことが可能―とした。