観光資源の「焼酎」論提言

観光資源として焼酎を考察した田中完さん

奄美市講座 田中完氏が講話
若い世代の継承活動に期待

鹿児島本格焼酎の特性や黒糖焼酎の歴史、情報発信の方法などを説いた元大島支庁長、県酒造組合専務理事の田中完さん(65)の講話が7日、奄美市名瀬のアマホームPLAZAで開かれた。龍郷町など県内6地区で実施されるツアー企画「焼酎トレイル」を解説。蔵元が持つ地理的多様性を生かした地域振興の取り組みを紹介した。

2025年度奄美市生涯学習講座「戦後80年を学ぶ」(花井恒三さん主宰)第15回。田中さんは、国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)が登録した「伝統的酒造り」(無形文化遺産)や「明治日本の産業革命遺産」(世界文化遺産)を踏まえた考え、「テロワール」(気候や風土、地形)を軸に観光資源としての鹿児島本格焼酎を考察した。

奄美での焼酎の歴史について、琉球王朝から始まる支配機構が酒造に影響を与えてきたと指摘。米軍統治下の戦後は不足する米に代わり、流通されない黒糖を焼酎に活用。原材料に米麹を条件とする、現在の黒糖焼酎造りに至る経緯を解説した。

県酒造組合が22年度から取り組む「焼酎トレイル」について、県内に110ある蔵元の地理的多様性を挙げ、「奄美では風土や歴史、文化を知る大切さを学んだ」と述懐。「先が見えない時代をチャンスと捉え、未来の方向性を描く視点で、蔵元の背景やストーリーを強調すべき」とする情報発信など、地域文化を包括した地域振興の方策を示した。

県産焼酎の生産量と出荷量について、「十数年減少傾向も、昨年9月から県外出荷が増えてきた」と報告。要因の一つに、香りを改良したフレーバー焼酎など、新たな消費を促す商品開発を挙げ、若い世代の担い手によるものと説明。田中さんは聴講で参加した、焼酎の継承方法を研究する奄美高校商業倶楽部の生徒に対し、「日頃飲まない方に歴史や文化などを伝え、『焼酎は面白い』と思わせることが大事」と期待を込めた。

最終回の第16回は、次年度6月に開講予定の花井さんが主宰する初回講座で併催予定。